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【文化体験】プライベート日本酒テイスティングセミナーに参加しました!

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特別に開催していただいた日本酒テイスティングセミナーに参加してきました!

今回の会場は神楽坂にある「SAKE BAR オトナリ」。ビルの地下1階にあるお店で知らないとなかなか行けない、隠れ家のようなバーです。

"オトナリ"はどういう意味なのだろうと思っていましたが、行ってみてすぐにその謎が解けました。和食居酒屋の「なきざかな」が隣接しており、その"お隣"のバーということでした。

コの字型カウンター席のこぢんまりとした店内には日本酒のお店らしく杉玉が吊るされており、少し暗めの照明が雰囲気を盛り上げてくれます。また、壁には酒蔵や日本酒醸造をしている方のサインが書かれていて酒造りの方に信頼されているお店なんだと期待感が高まります。

最初に断っておくと、私は全く日本酒に詳しくありません。普段お酒はほとんど飲まないですし、飲んでも月に数回、自宅で特にこだわりもなく家にある缶ビール飲む程度。日本酒はもちろん飲んだことはありますが、日本酒をとりたてて美味しいと思ったことがなく自ら注文するほどの知識も情熱も無い。そんな私ですがこのセミナーは楽しめるのだろうか…と不安もある中、日本酒テイスティングセミナーのスタートです。

と、セミナーの様子をお伝えする前に、日本酒とはいったいどういうものなのか軽くお勉強しましょう。

日本酒とは?

日本酒とは日本特有の製法で造られたお酒です。主原料は米・米こうじ・水ですが、その米と米こうじに日本国内産のみを使用し、日本国内で醸造したもののみが「日本酒」と名乗ることが出来ます。

日本酒の種類

日本酒の種類は大きく分類すると以下の2種類に分かれます。

  • 特定名称酒
  • 普通酒

特定名称酒となるには特定の以下の要件を満たす必要があります。

  • 米、米麹、醸造アルコール以外の原料を使用せず、また醸造アルコールの使用量は白米重量の10%以下であること
  • 3等以上に格付けされた玄米、またはそれに相当する玄米を精米して使用していること
  • 米麹の使用割合が15%以上であること

特定名称酒は精米歩合、醸造アルコールの添加有無、吟醸造りの有無によってさらに8種類に分類されます。

精米歩合とは米の精米度合いを示したものです。つまり、何パーセントまでお米を磨いたか、ということ。数値が低いほど米の外側を多く削っている=お米を贅沢に使用している、ということになります。

吟醸造りとは、低温でゆっくりと発酵させる醸造方法です。

特定名称醸造アルコール吟醸造り精米歩合
純米大吟醸不使用YES50%以下
純米吟醸不使用YES60%以下
特別純米不使用NO60%以下 または 特別な製造方法
純米不使用NO要件なし
大吟醸使用YES50%以下
吟醸使用YES60%以下
特別本醸造使用NO60%以下 または 特別な製造方法
本醸造使用NO70%以下

一方、普通酒は特定名称酒以外の日本酒で、特定名称酒に比べ低コストで製造できます。普段お料理に使用している料理酒などは普通酒が多いでしょう。

さあ、では実際に日本酒を飲んでいきましょう!

日本酒テイスティングセミナー

今回は8種類の日本酒をご準備くださいました。また、日本酒のアテに多種多様なおつまみもご用意いただいたのですがプレゼンテーションが素敵!だけど、日本酒とは結び付かないようなものもちらほら…

「KID(紀土)」純米大吟醸 スパークリング日本酒

記念すべき1杯目は和歌山県の酒蔵・平和酒造さんの「KID(紀土)」、純米大吟醸のスパークリング日本酒をいただきました。

瓶内二次発酵のお酒でとってもフルーティ。同じような雰囲気のもの相性が良いとのことで今回はフルーツをアテにいただきました。日本酒とフルーツ?と驚いたのですがスパークリングですっきりしていて、でも程よい甘みもあるので相性が良いと知れたのは発見でした。

日本酒は苦手で…と思っている方でもこれなら飲める気がします。むしろガブガブいけちゃう危険なお酒です。

こちらは生ハムメロンなどとも相性が良いそうですよ!ボトルもシャンパンボトルみたいで、お祝いの席やプレゼントにも喜ばれそう。

「醸し人九平次」純米大吟醸

次に出てきたのは愛知県・萬乗醸造(ばんじょうじょうぞう)さんの「醸し人九平次」。火入れした純米大吟醸です。精米歩合や醸造方法は全て同じですが、お米の品種のみがことなる2種類のお酒を飲み比べました。

まずは「山田錦」を使った「EAU DU DÉSIR」から。山田錦は日本で一番酒造りにつかわれているお米なのだとか。

EAU DU DÉSIRとは「希望の水」という意味で、"口にしたとき、希望というエネルギーを感じて欲しい。日本酒をもっともっと “幸” 多きものにしたい。"という思いが込められた品です。

日本酒慣れしていない私にも飲みやすく、すっきりとしているけど上品なお酒でした。

次は「雄町」というお米を使った「SAUVAGE」。SAUVAGEとは「野性味」という意味です。

雄町は日本酒造りでは4番目に多く使われている品種なのですが、私たちが体感できる品種としては日本で最も古い品種のひとつなのだとか。日本のお米の在来種の血を引き、野生のお米といっても過言ではない品種。

山田錦のものと比べると香りも味もちょっと強めで、日本酒ビギナーの私にはまだ早いかな~。でも、日本酒好きには「雄町」は結構人気のお米なんですって。

後味がどちらもすっきりとしている「醸し人九平次」はトマトや豆腐のサラダと一緒にいただきました。

それにしても製法や配合は同じなのにお米の品種でここまで違う物なのかと衝撃を受けました。もう少し日本酒を飲みなれて好みの味が定まったら品種でお酒をオーダーしてみたい、なんて小さな野望が生まれます。

「冩楽」純米吟醸

続きまして福島県・宮泉銘醸(みやいずみめいじょう)さんの「冩楽」純米吟醸。精米歩合は50%と大吟醸を名乗れる基準を満たしていますが、酒蔵のこだわりで「吟醸」としているのだとか。

「冩楽が苦手な人はほとんどいない」と説明いただいたのですが、本当にフレッシュですっきりとして、それでいて甘さもあり、これは万人受けするお酒だろうなあ。

アテは鴨のロースト。さっぱりとしたお肉料理によく合いますよ、と教えていただきました。

「上川大雪」特別純米 吟風 辛口

お次は北海道・上川大雪酒造さんの「上川大雪」のすっきりとした辛口のお酒です。

北海道に日本酒のイメージがあまりなかったので、北海道でも日本酒造りしていることにも驚きました。上川大雪酒造さんは、北海道の大雪山系の麓にある酒蔵で2016年に新設された酒蔵とのことです。

お米の味わいがしっかりとしていて、キリっとした印象の辛口のお酒で、アテには鱧の天ぷらをいただきました。淡麗・辛口なお酒が天ぷらの油を切ってくれるイメージです。

「七本槍」純米

6杯目は滋賀県・冨田酒造さんの「七本槍」を熱燗でいただきました。

実は私、熱燗が苦手なんです。冷酒だとすっきり飲めたりすることもあるのですが、温められた日本酒の匂いがなんとも苦手で…。

そんなイメージを覆してくれたのがこのお酒でした。熱燗独特のツンとくる匂いもない上、口当たりもやさしく味が濃くなりすぎていないというか。これならどんどん飲みたい!と思ったのが自分でも驚きでした。

こちらのアテは生ハム(のアスパラガス巻き)でした。熱燗ってより日本らしさがあって、それこそ和食に合わせてちょこちょこっと飲むイメージだったのですが、生ハムとの相性がとてもよくて衝撃的!生ハムって通常冷たい状態で出されることが多いので、熱燗の温かさが生ハムの油を溶かしてくれるんですって。これ、熱燗好きの父親にドヤ顔で教えようと思います。

ちなみに温めすぎている方が多いとのことですが、熱燗の温度は基本的に50度とのことです。へえ~。

「黒龍」貴醸酒

7杯目は福井県・黒龍酒造さんの貴醸酒「黒龍」をいただきました。

貴醸酒とは仕込み水の一部または全部に酒を使って造る特別なお酒で、通常の日本酒に比べてかなり糖度が高く、甘くてリッチなお酒です。デザートワインみたいな感じとのこと。こちらは純米吟醸酒の黒龍を贅沢に使用して造られています。

口に入れると甘みがぶわーっと広がり、デザートワインみたいな感覚とおっしゃっていたのが分かりました。甘いカクテルが好きな方はこれもお好きだと思う。マスカルポーネチーズと合わせていただきました。

「木戸泉」ブレンド古酒 ハンドシェイク

最後にいただいたのは千葉県・木戸泉酒造さんのブレンド古酒「木戸泉」です。1年以上の熟成した純米酒をベースに 30年熟成以上の純米原酒と5年超の熟成純米アフスをブレンドして造られたお酒です。

熟成された古酒ということで、色からして今まで飲んできたものと大きく異なります。日本酒と言えば透き通った色、もしくはほんのり黄みがかった透明色というイメージだったのですが、色、濃い~!!!思わず「お酢?」と思ってしまうほど。

ほとんど飲んだことが無いのでなんとなくのイメージですが、紹興酒みたいな感じです。私にはまだ早かった…。でも「これがいい!」という方は結構いるんだろうなあ。こちらはソラマメの黒糖がけと一緒にいただきました。黒糖の甘さが少し飲みやすくしてくれた、気がする。

ボトルデザインが素敵で、現在の杜氏さんと前世代の杜氏さんが握手をしている写真が使用されています。昔も今も大事にしていく心意気を感じます。

日本酒の性格に合うおつまみのペアリング、日本酒の種類、酒米、酒蔵のこだわり等々、ただ居酒屋やレストランでいただく時にはなかなか詳しく聞くことのできないことをレクチャーしていただき、これまで乏しかった日本酒への興味が目覚めていくのを感じました。

プライベートセミナーだったので気兼ねなく「大吟醸と吟醸はどう違うの?」「ワインのように日本酒もビンテージ物は価値が高いの?」などといった初歩的で素朴な疑問も気兼ねなく質問でき、自分の知識レベルに合わせて日本酒について学べる点がとても嬉しかったです。

本当に有意義で楽しいセミナーで、これから自分で日本酒を買ってみたいと思わせてもらったのですが、それを一番後押ししたのは多種多様なおつまみ!日本酒ってこんなにお料理の国籍問わず美味しくいただけるんだと知れたことは大きな収穫でした。生ハムやチーズはコンビニでも簡単に手に入れられますし、「これだったら自分でも気軽に楽しめるかも!」と可能性を広げてもらいました。

今回のテイスティングセミナーは特別に開催していただいたもので普段は行われていませんが、「SAKE BAR オトナリ」さんでは常に40種類以上の日本酒をご用意されています。美味しいおつまみとともに自分に合う一杯を探してみては?

SAKE BAR オトナリ

住所東京都 新宿区 神楽坂5-35 おおとりビル B1F
電話番号080-7954-5357
営業時間【平日】 17:00-23:00
【土日祝】 15:00-23:00
定休日年末年始
ウェブサイトhttps://tabelog.com/tokyo/A1309/A130905/13196674/ (食べログ)