東京湾の狭い湾口部に位置する三浦半島東部の浦賀は古くは水軍の拠点でしたが、その後も水上交通の要衝として多くの船が立ち寄り、廻船問屋が軒を連ねるなどして隆盛を極めた港町でした。
徳川幕府が誕生すると将軍が居住する江戸への入り口であることから、浦賀を幕府直轄領として奉行所を置き、防備のため砲台も整備しました。
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その浦賀で「黒船来航」として日本の近代史に大きな名を残す重大事件がおきました。
170年前の1853年7月マシュー・ペリー提督率いるアメリカ海軍東インド艦隊4隻(黒船)が来航して浦賀沖に停泊したのです。慌てた幕府は艦隊に長崎廻航を求めましたがペリー提督は聞き入れず武力行使もちらつかせたので止む無く近隣の久里浜に一行の上陸を認めざるを得ませんでした。
そこで浦賀奉行がアメリカ合衆国大統領フィルモアの開国を求める国書とペリー提督の信任状を受け取りました。
そして翌1854年2月に再来航したペリー提督と「日米和親条約」を横浜で締結する事になり、浦賀は200年続いた鎖国を終わらせ日本近代化の幕開けとなった歴史的な場所なのです。
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この浦賀から東京湾を挟んで対岸にあるのが「東京ベイサイドゴルフコース」です。
房総半島の高台に位置するコースやクラブハウスからは黒船が停泊した浦賀沖やペリーが上陸した久里浜を見渡す事ができ、更に晴天の日には日米和親条約締結地横浜の高層ビルや170年前にペリー提督が初めて眺めたであろう富士山を望む事が出来ます。
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この眺望の素晴らしい南欧高級リゾート風のゴルフコースは当初三井物産や東急不動産などにより会員制ゴルフクラブとして計画されました。しかし、バブル崩壊により実現が難しくなり2001年10月に三井物産単独でパブリック制の「竹岡ゴルフ倶楽部」として開場しました。その後2004年にホテルモントレ等を運営する隨縁リゾートグループの「隨縁カントリークラブ竹岡コース」となり、更に2018年6月にはPGM(パシフィックゴルフマネージメント)に営業譲渡され現在の「東京ベイゴルフコース」となりました。
設計はNIPPO/近鉄傘下の建設会社「大日本土木(株)」です。
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全長6,515ヤード、18ホール、パー72の丘陵コースの景色は素晴らしいですが、コースは谷越えもあり、アップダウンも多くて距離感を掴むのが難しく、フェアウェイもハザードやOBラインで絞られています。
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海沿いのため風の影響も受けやすく、風を計算した正確なショットや戦略性も求められます。
またグリーンはベントのワングリーンでアンジュレーションもきついので、その攻略がスコアメイクの鍵となるなど、けっして簡単なコースではありません。
しかし、距離が比較的短いのでフェアウェイを大きく外さないショットが打てれば女性やビギナーでも好スコアが期待でき、一方ロングヒッターはフェアウェイを突き抜ける可能性もあり、ホールによってはドライバー以外のクラブ選択を考える必要があります。
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スペイン瓦屋根のお洒落なクラブハウスの周囲にはヤシの木が連なり、内房総の温暖な気候と相まって南欧高級リゾートを思わせる佇まいです。関東随一の眺望を誇るコースと言っても過言ではないかもしれません。
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海を見下ろす高台にあるクラブハウス内のレストランは大きなガラス窓が並び、パノラマのような絶景を眺めながら食事を楽しむことができます。
また、女性ゴルファーを意識してロッカー、浴場やパウダールームのアメニティーやドライヤーなどの機器にも気配りしているそうです。
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それでは主なホールを見て行きましょう。
1番ホール(361ヤード、パー4)は右に大きくカーブする豪快な打ち下ろしホールです。
左右にOBラインがあり、正面には大きなバンカーが待ち受けているのでティーショットは適切なクラブ選択が重要です。谷右手の上からグリーンをショットカットで狙うのはリスクが大きいです。
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2番ホール(126ヤード、パー3)はやや打ち下ろしのパー3ホールで左右から木々がせり出し、グリーン手前には大きなバンカーがあるのでティーショットはややプレッシャーを感じます。
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3番ホール(365ヤード、パー4)は全体が右手に傾斜しながら緩やかに右にカーブするパー4ホールで、ティーショットの落ちる辺りが左右のOBラインで絞られているので注意が必要です。
その付近からはやや打ち下ろしとなり、グリーンは縦に長く伸びていて、落としどころによっては長いパットが残ります。
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4番ホール(363ヤード、パー4)は大きく左にカーブするパー4ホールで、フェアウェイの左右にOBが迫り、そのOBに向かって傾斜がある難しいホール。フェアウェイ右手のクロスバンカー付近がねらい所ですが、その付近から上り傾斜となりグリーンの左側はOBラインが迫っているので十分注意が必要です。
5番ホール(183ヤード、パー3)は距離の長い打ち下ろしのパー3ホールです。ここも左右の木々がフェアウェイを狭めOBも迫っているので、ビギナーはティーショットでグリーンを狙うより、
ガードバンカーを避けつつツーオン狙いの選択肢もありでしょう。
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6番ホール(387ヤード、パー4)は比較的長くやや上りのパー4ホールでパーオンは中々難しいです。しかもフェアウェイの右手前はティーイングエリア方向に急な下り傾斜の斜面となっているので、ティーショットをミスしてフェアウェイに届かないと更にグリーンが遠くなります。グリーンも砲台状で上面が見えずアプローチショットにも注意が必要です。
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7番ホール(459ヤード、パー5)はやや左に回りながらグリーンに向かって打ち上げていくパー5ホールで、ヤード表示より長く感じられるホールです。グリーン手前には大きなガードバンカーが二つあり、アプローチショットはこれらを避けて大きめに狙いましょう。
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9番ホール(464ヤード、パー5)は高台にあるティーイングエリアから右手の海に向かって打ち下ろしていくパー5ホールです。ティーショットは右手のクロスバンカー方向が狙い目です。
セカンドショット地点からスペイン瓦屋根の美しいクラブハウスに向かって左にカーブし、右手には大きな池が広がる美しく印象的なホールです。
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10番ホール(178ヤード、パー3)は東京湾に向かって打ち下ろすやや距離のあるパー3ホールです。フェアウェイも広々とし、グリーン手前にはガードバンカーもないのでプレッシャーを感じずに伸び伸びとティーショットが打てますが、海風の強い日があるので注意が必要です。
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11番ホール(527ヤード、パー5)はティーイングエリアの右手から谷が迫る比較的距離もある難易度の高いパー5ホールです。フェアウェイは左にカーブしているので、一番距離の長い右側の谷の上を越えて行く必要があり、プレッシャーを感じます。
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12番ホール(318ヤード、パー4)は緩やかな左カーブの打ち下ろしホールです。距離が短いのでロングヒッターはワンオンも狙えるホールですが、左右のOBラインと木立でティーイングエリアから見るフェアウェイは狭く感じられ、ティーショットはプレッシャーを感じます。
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13番ホール(141ヤード、パー3)池越えの美しいパー3ホールです。やや打ち下ろしとなりグリーンの上面が良く見えますが、グリーンの手前から池に向かって急なスロープとなっており、ティーショットが少しでも短いとボールは戻って池に吸い込まれます。
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14番(300ヤード、パー4)は短めのパー4ホールで、グリーンへ真っすぐなだらかに打ち上げるホールです。特に右手のOBラインが近いので注意が必要です。
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15番(335ヤード、パー4)はやや打ち下ろしとなるパー4で、グリーン左手前にある二つの池が印象的なホールです。右手のOBゾーンを嫌って左側から攻めると池越えのアプローチとなります。
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16番(402ヤード、パー4)は15番ホールとの間にある池の横から東京湾に向かってティーショットを打つ印象的な美しいパー4ホールです。距離も十分あり二打目地点からクラブハウスに向かって鋭く右に曲がって行きます。右斜面の上方向から行くのが近道ですがOBラインも迫っているので、ティーショットは正面に見えるクロスバンカーと山裾の間に打ち、距離は残りますがそこからグリーンを狙うのが安全です。
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17番(332ヤード、パー4)は真っすぐなパー4ホールでティーショットは打ち下ろし、セカンドショットから打上げとなります。フェアウェイも比較的広くパーが取り易いホールですが、フェアウェイの右に聳えるシンボルツリーがアプローチを妨げになるのでティーショットは左手を狙う必要があります。
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18番(478ヤード、パー5)最終ホールはクラブハウスに向かってやや打ち上げて行くパー5ホールです。グリーン手前に大きな池があり、真っ白なビーチサンドバンカーが池を囲んでいて、これを回り込んだ先にクラブハウスとグリーンある印象的な景観を持つホールです。
池は思いのほかフェアウェイに食い込んでいて、グリーンも横長で奥行きが狭く、大きなガードバンカーもあるので正確にグリーンを捉えるアプローチショットが必要です。
距離は比較的短いパー5ですが、視覚効果が効いていて戦略性が求められる難易度の高い最終ホールだと思います。
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館山自動車富津竹岡インターから約5Kmで、都内からもアクアライン経由で約90分程度、対岸の三浦半島久里浜港とコース近くの金谷港を40分で結ぶ東京湾フェリーの利用も可能とアクセスも良好です。
プレー後に夕陽を眺めながらフェリーでゆっくり東京湾を渡って帰るのも一興です。
都内から最も近い絶景シーサイドリゾートコースをお楽しみ下さい。
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東京ベイサイドゴルフコース
住所 | 千葉県富津市竹岡4277-2 |
電話番号 | 0439-67-2611 |
ウェブサイト | https://booking.pacificgolf.co.jp/guide/159.html |