(①からつづく)
「軽井沢ゴルフ俱楽部」ならではのユニークなルールは他にもあります。誰であろうと付き添のSP・秘書・運転手、報道関係者などは立ち入り禁止です。ピーク時を除き予約不要で到着順にスタートします、プロゴルファーのプレーも禁止です(専属プロもいません)。
華美な装飾の無いスッキリしたレストランにはメンバーは皆平等という事でVIPルームはおろかコンペルームなどの個室もありません、一方で毎日別荘から通う舌の肥えたメンバーの為に美味しさはもちろんの事、飽きないようランチメニューが毎日入れ替わります。
クラブハウスは玄関からロビー・ロッカールームに至るまで驚くほど簡素な佇まいですが、それがまた伝統と上品さを感じさせます。
また、嬉しい事にゲストに対してもフロントスタッフからレストラン、キャディさんまで皆さん極めて丁寧で親切な対応です。芝から打てるドライビングレンジで練習した後にはキャディさんがクラブを綺麗に拭いてくれます。
リゾートコースという事で堅苦しいジャケット着用は不要ですが、半袖の下の長袖のアンダーウェアやアームカバーは下着と見なされ注意を受けました。女性も華美なゴルフウェアは控えるなど、皆さん上品な服装を心がけているように見えます。
驚く事に倶楽部にはネット上のホームページもありませんので、ゲストはプレー前にメンバーにドレスコードなど倶楽部ならではのルールを確認する必要がありますね。
一方、年間半年程度しかプレーできないにも関わらずコースコンディションは最高の状態に保たれ、特に国内有数のハイスピードを誇るグリーンのメンテナンスは素晴らしいです。日本で最もハイクラスなゴルフ倶楽部はコースの質でもホスピタリティでも日本一の贅沢なプライベート倶楽部かも知れません。
浅間山を中心に高原らしい雄大な山々を背景にした美しいコースは限りなくフラットで広々としています。しかし、リゾートコースとは言え距離は6,700ヤードと長めでドックレックも多く、フェアウェーには微妙なアンジュレーションがあり、深いラフやバンカーと高速グリーンが相まってスコアメイクは簡単ではありません。
まずクラブハウスの前に広がる1番(398ヤード、パー4)と10番(384ヤード、パー4)のスタートホールは白洲次郎氏が時計に下に座ってスロープレーヤーを叱責したテラスの目の前です。
このティーグランドで素振りをしてはいけません!その緊張でミスショットをしてもフェアウェーは広いのでどこに飛んでも大丈夫です。しかしグリーンに上がりパットを打つとそのスピードに驚きます。
3番ホール(211ヤード、パー3)距離はありますが広々としたショートホールで、ティーグランド正面に浅間山を眺める事が出来ます。グリーンの手前に大きなクロスバンカーがあるので注意です。
5番ホール(416ヤード、パー4)フェアウェーはS字を描きながら緩やかに上り傾斜で、距離もたっぷりある難しいミドルホールです。広いグリーンもうねりがきつくパットでも苦労します。
8番ホール(568ヤード、パー5)、9番ホール(480ヤード、パー5)と歩き疲れた頃にロングホールが2つ続くのは試練です。特に8番は距離も長く、パーオンするものは容易ではありません。逆に9番は比較的短いですが左へ緩やかにドックレックし、グリーンは中央が高く傾斜もきつくパッティングを難しくしています。しかし、クラブハウスと浅間山に向かって豪快にショットを打つ事ができます。
11番ホール(392ヤード、パー4)距離のあるミドルホールで右に大きくドックレックし、200ヤード付近の右側にはクロスバンカーと大きな池がある難しいホールです。
12番ホール(128ヤード、パー3)一番短いショートホールですが、池越えでグリーンの周りには大小5つのバンカーが待ち構えているので、油断はできません。
13番ホール(356ヤード、パー4)真っすぐなミドルホールですが、ティーグランドの前に池があるのが少し気になります。
14番ホール(596ヤード、パー5)距離が596ヤードと一番長く、右にドックレックしグリーン手前のフェアウェーが狭く絞られている難ホールです。メンバーの方々はこのホールをコースの距離と難易度にひっかけて「ごくろさん」ホールと呼んでいました。
15番ホール(400ヤード、パー4)、16番ホール(191ヤード、パー3)、17番ホール(408ヤード、パー4)と距離のたっぷりあるミドルホールとショートホールが続き、疲れもピークに達します。特に15番はグリーン手前に右手に池が広がるので注意が必要なホールです。
18番ホール(492ヤード、パー5)最終ロングホールは距離がやや短めで一息つけますが、フェアウェーは見た目より大きく波うっています。歩いて廻るのでこの辺りでは疲れも溜り、微妙な傾斜からショットを打つと思わぬミスが出てしまいホールアウトするまで気が抜けません。
ラウンド後はコースが望めるクラブハウスのテラス席でコーヒーにサンドイッチでも摘みながら優雅な倶楽部ライフの香りを嗅いでいると、疲れも消え心地よい時間が流れます。
現在のメンバーは360名ほどと言われ、プレーするにはこの限られたメンバーの同伴か紹介が必要です。また入会を渇望する人は多いものの、高額な入会金や会費に加え追加の維持費拠出に継続的に応じる経済力もさることながら、倶楽部に相応しい人物であると言う複数のメンバーからの推薦が必要で、入会審査は極めて難しいと言われています。軽井沢に別荘を持っている事も条件の一つとされているようです。
しかし、夏でも快適な高原リゾートの軽井沢で下界の暑さや雑事を忘れて、美しい景色と最高のコースコンディション、そして良質なプラーベート感を満喫してのゴルフは究極の贅沢ではないでしょうか。クローズドなメンバーシップ倶楽部ですので、決して簡単ではありませんが、何とかチャンスを見つけてプレーする価値はあるでしょう。
軽井沢ゴルフ倶楽部
住所 長野県北佐久郡軽井沢町長倉南ケ丘3000
TEL 0267-42-2220