前回のゴルフコース紹介に続き、今回は「川奈ホテル」についてご紹介します。
大倉喜七朗は留学中に訪れたスコットランドのリゾートホテル・グレンイーグルスホテルで貴族たちがゴルフや乗馬、テニス、プールなどを楽しむ姿に感銘を受け、帰国後ここ川奈に英国風本格的リゾートホテルを建設しました。
オープンしたのは富士コースと同じ1936年(昭和11年)で、この年は二二六事件が起き軍靴の足音が響く騒然とした時代でした。太平洋戦争中は米英大使館員の抑留先や海軍病院に、戦後は進駐軍に接収されるなど歴史の荒波に翻弄されました。接収解除後にも平穏ではなく、大倉財閥の中核であった大倉商事の倒産により担保として差し押さえられましたが、西武グループが再建を支援し現在はプリンスホテルの傘下で整備が進んでいます。
外観は望楼を備えたスパニッシュスタイル、れんが色の屋根に白壁の南欧リゾートの雰囲気ですが、建物の中に入ると趣が異なり英国風の貴族の館で用いられるチューダー様式で、喜七郎の美学が色濃く残されたクラッシックホテルです。
エントランスを抜けると創業以来変わらぬレトロな佇まいのロビー、大理石の大きな暖炉の上には川奈のシンボルである鷲のエンブレムが施され、シックな革張りのソファとマッチして重厚感と気品が漂い特別な落ち着きを感じます。
ロビーの隣には川奈ホテルのランドマークとも言うべきサンパーラーがあります。柔らかな日差しが降り注ぐ大きなガラス窓から穏やかな相模湾が一望でき、ゴルフ場や国内では珍しい天然芝のテニスコート、大小三つのスイミングプールなどが眺められます。ここでリゾート気分を満喫しながら優雅にお茶とお菓子を頂けますが、特にフルーツケーキはここでしか味わえない絶品でお土産としても人気です。
その奥はヨーロッパのお城にある教会をイメージして造られた木組みの天井をもつ重厚なメインダイニングで、旬の食材を使ったホテル伝統の本格的フランス料理が味わえます。
また庭には1936年に御殿場から築300年を経た茅葺の古民家を移築し本館同様に有形文化財の登録された和食処「田舎家」があり、てんぷらやすき焼きなどを楽しめます。
昨年春には歴史ある瀟洒な建物の魅力はそのままに、全客室の改装工事が完了しました。宿泊者専用の温泉施設「ブリサ・マリナ」(スペイン語で「海風」)には大浴場やプラベートバスルームなどもあり、露天風呂で海風を感じながら水平線から昇る朝日を眺める事ができ、ノンゴルファーや家族旅行など新たなニーズにも対応が図られています。
川奈は歴史あるホテルだけあって内外からの賓客も多く天皇皇后両陛下やスウェーデンのグスタフ国王夫妻などが訪問されたほか、1998年にはロシアのエリツィン大統領が当時の橋本総理とここで首脳会談をしています。またハリウッドスターではジョン・ウェインや、マリリン・モンローがニューヨークヤンキースの強打者ジョー・ディマジオと新婚旅行に来た話も有名ですね。彼女が気にいって二回も食べたというオムライスは今でも名物料理としてメニューに残っています。
名だたる著名人に続き歴史ある川奈を訪れ、名門コースでゴルフを楽しんだ後に温泉露天風呂でリラックスし、本格フランス料理を味わって非日常を楽しまれては如何でしょうか。
川奈ホテル
住所 | 静岡県伊東市川奈1459 |
電話番号 | 0557-45-1111 |
ウェブサイト | https://www.princehotels.co.jp/kawana/ |