【河口湖】久保田一竹美術館 – 染色家・久保田一竹からのメッセージ

【河口湖】久保田一竹美術館 – 染色家・久保田一竹からのメッセージ

河口湖畔にある大石公園から車で約3分、着物の枠を超えた作品を展示する美術館があります。その美術館とはミシュランガイドで三つ星を獲得した「久保田一竹美術館」。実際に訪れて見ると、高評価の理由がわかりました。

辻が花

辻が花染めは室町時代〜安土桃山時代に栄えていた染色方法。絞りを基調とし描き絵を施した紋様染の技法です。室町時代にから庶民の小袖として、安土桃山時代には多くの武将や武家に愛されてきましたが、江戸時代初期にその姿を消しているため、「幻の技法」と言われています。辻が花が衰退した理由は、江戸時代に友禅染めが繁栄しその勢いに押されたためではないかと推測されています。

久保田一竹と一竹辻が花

1917年、東京都生まれの染色家。

久保田一竹は20歳の時に美術館で見た辻が花染めの着物を見て「これは素晴らしい!この技術は残していかなければならない!」と強く思い、その当時すでに失われた技法「辻が花」を再現するだけでなく、現代でも通用する技法として確立することを目指し、その研究に全身全霊をかけました。しかし、27歳の時に太平洋戦争に召集され出兵し、敗戦後はシベリアに抑留されてしまいます。もう日本には帰れないかもしれないと思いながらシベリアで見た夕日の美しさにとても感動したそうです。

抑留から3年、31歳の時に一竹は日本に戻ってくることが出来ました。帰国後は友禅作家として活動する傍ら、得た収入は辻が花の研究に費やしていましたが、本格的な辻が花研究に取りかかれるようになったのは40歳の頃です。そして1977年60歳の頃、自己流の辻が花「一竹辻が花」が完成しました。1990年にはフランス芸術文化勲章シェヴァリエを受賞。

1995年11月~1996年4月にかけては、ワシントンD.C.のアメリカ最大のスミソニアン国立自然史博物館にて個展を長期開催。スミソニアン博物館で存命作家の展示がされたのはこれが初めという偉業を成し遂げました。

久保田一竹美術館

河口湖と富士山を望む絶好のロケーションに建てられた久保田一竹念願の美術館。資金が続かずに何度も中断しながら建設され、「本館」は1994年10月に、「新館」は1997年7月に開館しました。「人と自然と芸術の三位一体」と「新しい文化・芸術の発信地」を二代テーマとし作品だけではなく、庭や建物を含む美術館の全てが「一竹の世界」を表現しています。


こちらが美術館の正面入り口。赤松林の中に現れた扉は古い時代のインドの城門を移築したもの。

門を通り抜けしばらく歩くと新館が見えてきます。アントニ・ガウディのファンだった久保田一竹はスペイン・バルセロナのグエル公園をイメージしたこの建物を作りました。

正面に見えるのが「本館」。富士山をイメージしたピラミッド型の建物です。年に数回は展示内容は変わりますが、大体20着ほどの「一竹辻が花」作品が展示されています。館内は撮影NGなので、作品を紹介できないのが残念。

ところで、安土桃山時代の人々は花を愛する気持ちに溢れていて、道端に咲いている花を見て幸せを感じていたのだそう。当時は道端のことを「辻」と読んでいたので、「辻が花」はその名の通り「道端の花」を表しているそうです。

久保田一竹の作品を見ると「何気ないものが幸せ」という一竹からのメッセージが込められているのだと強く感じました。草花や富士山、朝日や夕日など自然をモチーフにしたその作品からはとてつもないアート性があり圧倒されました。これまでに着物は何度も見たことがあるのですが、美しい着物を見てもその色や模様としか思っていませんでした。それが着物を見てこれほどまでに強いメッセージを感じるなんて初めての経験で言い表す事の出来ない感動に包まれました。久保田一竹の作品は着物ではなく、着物をキャンバスにしたアート作品!

あなたも美術館全体から感じる久保田一竹のメッセージを受け取りに行ってみませんか?

久保田一竹美術館

住所    :山梨県南都留郡富士河口湖町河口2255
電話番号  :0555-76-8811
開館時間  :10:00 – 16:30(最終入館:16:00)
       *** 2021年11月は開館。12月以降のスケジュールは未定。
休館日   :火曜日 or 水曜日
入館料   :大人 1,300円
ウェブサイト:http://www.itchiku-museum.com/