【金沢】金沢21世紀美術館 – アートを身近に感じられる公園のような美術館

【金沢】金沢21世紀美術館 – アートを身近に感じられる公園のような美術館

「金沢21世紀美術館」は2004年のオープン以来、多くの人が訪れる人気の美術館です。設計は世界的に活躍する建築ユニットSANAA(妹島和代&西沢立衛)によるもので、建築好きにとっても人気スポットとなっています。

建築コンセプト

『まちに開かれた公園のような美術館』

金沢21世紀美術館は金沢市の中心部(金沢市役所の隣)に位置し、誰もがいつでも立ち寄れる公園のような美術館を目指しています。このため敷地内には誰でも入れる上、建物はガラス張りでとても解放的に演出されています。建築をする上では3つのポイントに着目されていたのだそう。

① 多方向性=開かれた円形デザイン
  どこからでも来場者が入れるよう東西南北に入口を設けられており、正面や裏側といった区別のない円形が採用されました。

② 水平性=街のような広がりを生み出す、各施設の並置
  展示室、カフェ、ライブラリーなどの各施設はほぼ水平上に配置されています。これは、街のような広がりを生み出すための工夫です。

▲ ミュージアムショップ
▲ ライブラリー

③ 透明性=出会いと開放感の演出
  外壁や館内の多くの壁面をガラスにすることで「透明であること、明るいこと、開放的であること」を求めています。透明にすることで、内部と外部の人々がお互いの気配を感じ取れる“出会い”の感覚も演出されています。

体験型アート

金沢21世紀美術館では魅力的な企画展がよく開催されていますが、それとは別に恒久的に展示されている作品もとても素敵。思わず写真を撮りたくなるようなものばかりで、しかも自らが“体験”できるアートがたくさんなので実際に体験されてはいかがでしょうか。

ブルー・プラネット・スカイ / ジェームズ・タレル (2004)

部屋に入ると正方形に切り取られた天井がある「ブルー・プラネット・スカイ」は光の魔術師、ジェームズ・タレルの作品。天井の切り込みを眺めていると空の様子が変わっていくのを見られ、地球の自転を感じられます。夏の日没時には空の色と部屋の色が同じになる瞬間があるのだとか。それは人間の目でしか感じられない現象とのことなので、いつかこの目で見てみたいなあ。

カラー・アクティヴィティ・ハウス / オラファー・エリアソン (2010)

多数の色が目に取れるこちらの作品ですが、実際に使われているのは3色のみ。色の重なり方で見える世界が変わっているのだと体感すると、今自分が見ているこのカラフルな世界もただ色のフィルムを重ねているだけなのかも…と思えてきます。

ラビットチェア / SANAA

うさぎの耳のような形をした椅子は来館者に大人気!こんな風に可愛く並べられていたらつい記念撮影をしたくなっちゃいますよね。こちら、オンラインなどで購入可能です!

アリーナのためのクランクフェルト・ナンバー3 / フロリアン・クラール (2004)

敷地内を散策していると目に入るのがラッパのオブジェ。敷地内に12個点在しており、それぞれ2個が対になって地中で繋がっています。隣同士のラッパが必ずしも繋がっているわけではないので、ラッパに向かって声を出すと思わぬところに自分の声が届くことも。

雲を測る男 / ヤン・ファーブル (1998)

建物の上に立っているこの作品は、『終身犯』(1961年 米国)という映画から着想を得て制作されたもの。この映画は監獄に入れられた主人公が独房で小鳥を飼い、鳥類学者となった実話に基づいています。映画の終わりで研究の自由を剥奪された主人公が、「今後は何をして過ごすのか」と問われ、「雲でも測って過ごすさ」と答えましたが、作品のタイトルはその台詞に由来しています。

まる / SANAA (2016)

雲のようなこちらの立体は外側からも内側からも自由に鑑賞できる作品。自分や周囲の姿が「まる」に無数に映し出される不思議な風景を是非体感ください。

市民ギャラリー 2004.10.09-2005.03.21 / マイケル・リン (2004)

作者はこの作品を制作するにあたり、金沢に滞在、加賀友禅の制作過程を調査したそうです。その中でも特に古典図案に着目して調査し、この特徴的な花模様が生まれたのだとか。

マイケル・リンの作品は金沢21世紀美術館同様、西沢立衛氏によって設計された青森県の「十和田市現代美術館」でも見られました。「21美」が好きな方は「十和田市現代美術館」もきっと好きだと思います!

スイミング・プール / レアンドロ・エルリッヒ (2004)

金沢21世紀美術館のシンボルとも言えるのかこちらのプール。一見普通のスイミングプールですが、近くに行って下を覗き込むと深く水が張られているかのように見えるのですが、実際はガラスの上に10センチほど水が張られているだけで、その下は人が入れる空間になっています。上から覗き込む人にとっても、プール内部にいる人にとっても不思議な感覚を味わえる作品です。

ちなみに、これまで紹介した作品は無料で見られる「交流ゾーン」に展示されているものばかりなのですが、このスイミング・プールを近くで見るには料金を支払う必要があります。

レアンドロ・エルリッヒの作品が好きだと思った方は是非近くにある「KAMU Kanazawa」にも訪れて見てください!小さな私設現代美術館ですが、ユニークで素敵な作品を見られます。

ご紹介した以外にもまだまだ素敵な作品や建築的見どころがたっぷりの「金沢21世紀美術館」。金沢観光の際にはMUSTと言っても良いスポットです!

金沢21世紀美術館

住所石川県金沢市広坂1-2-1
電話番号076-220-2800 (代表)
開館時間【展覧会ゾーン】10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)
【交流ゾーン】9:00~22:00 ※各施設の開室時間はそれぞれ異なる
休館日【展覧会ゾーン】月曜日(休日の場合は直後の平日)、年末年始
【交流ゾーン】年末年始 ※各施設の休室日は展覧会ゾーンに準ずる
入館料【展覧会ゾーン】展覧会により異なる
【交流ゾーン】無料
ウェブサイトhttps://www.kanazawa21.jp/