毎年8月に開催される「全国高校野球選手権大会」は通称「夏の甲子園」と呼ばれ、野球ファンのみならず多くの人々が楽しみにする日本の夏の風物詩です。
1915年に初回が開催された前身の大会から100年を越える長い歴史を持ち、戦争中の中断を挟み今年は105回記念大会を迎えています。日本全国で3,500校を越える高校が参加する予選大会を勝ち抜いた代表校がトーナメント方式で日本一を競います。
今年の大会は神奈川県代表で長い歴史を誇る名門校慶應高校が147年ぶりに優勝を飾りいつも以上に盛り上がりました。
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この夏の甲子園で北海道予選を勝ち抜いて代表校となったのは「クラーク記念国際高校」で、1992年開校の通信制を主体とするユニークな高校です。同校はスポーツ育成にも力を入れていますが、2014年創部の新しい野球部が二度目の出場で、通信制高校として甲子園初勝利を上げました。残念ながら二回戦では大リーグエンジェルスで大活躍中の大谷翔平選手の出身校である花巻東高校に惜敗しましたが大健闘でした。
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この野球部を率いるのはかつて「ひぐま打線」と呼ばれた駒沢大学岩見沢高校を何度も甲子園に導いた地元北海道出身の名将佐々木監督で、2014年同高校の閉校によりクラーク記念国際高校の野球部監督に就任しました。
また名誉校長を務めるのは世界最高齢で標高8,848mのエベレスト山に登頂し、今年92歳で障害を抱えながらも車椅子で富士山に登頂した有名な登山家・スキーヤー三浦雄一郎氏です。
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その三浦氏の母校は「北海道大学」(獣医学部)ですが、同校は北海道開拓の指導者を育成するため1876年に設立された「札幌農学校」を源流としています。
その初代校長であったのがアメリカ・マサチューセッツ農科大学学長のウィリアム・スミス・クラークです。彼がアメリカで教鞭をとっていた際に初の日本人留学生だったのが、後に京都で同志社大学を創設する新島襄で、彼の紹介により日本政府から熱烈な要請受ける事になりました。
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クラーク博士は大学を1年間休んで来日すると自らが模範となって規律正しい厳格な教育を行うと共に、彼の教えた最新の農学技術で北海道開拓は劇的に進んだと言われます。
彼が帰国するにあたり見送る生徒達に馬上から叫んだと言われる「Boys, be ambitious!」(Boys, be ambitious like this old man)は北海道開拓精神を象徴する言葉として今日まで広く語り継がれ、「北海道開拓の父」として歴史に名を刻みました。
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クラーク記念国際高校はクラーク博士の自律的な精神を教育理念として受け継ごうと彼の名前を冠しています。
一方、クラーク博士が有名な言葉を残して学生たちと別れたのが札幌郊外の北広島ですが、そのゆかりの地に彼の名を冠した「クラークカントリークラブ」があります。
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地元の有力企業である日本製紙グループにより1973年に開設され、今年50周年を迎える老舗で、クラブハウスなどは当時のままで歴史を感じる建物です。設計は宍戸ヒルズなども設計した発知朗ですが、ゴルフ殿堂入りした往年の名選手中村寅吉がコース監修を行っています。
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北海道らしい広大なトド松の林を切り開いた緩やかな丘陵地帯には東・中・西の3コース計27ホールが広がります。3コースとも雄大なスケールを持っており、大きな起伏こそ少ないですが、適度なアンジュレーションがあり、レイアウトも戦略性にも富んでいるので攻めと守りのメリハリあるプレーが要求されます。特に難しいのが大きく傾斜が複雑なグリーンで、ピンの位置によっては2パット以上も覚悟する必要があります。
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西コースは全長3,278ヤードで1番ホールは右ドックレックのパー5(509ヤード)から始まります。ティーイングエリアの左右に高い木が迫るのでややプレッシャーを感じますが、二打目以降は広々したフェアウェイからのショットとなります。但し、グリーン手前には一本の木立があり、グリーンは左右に長く奥行きが無いので、アプローチは高い球でグリーンに止める必要があります。
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2番ホール(419ヤード)は比較的長い打ち下ろしのパー4ホールです。ティーイングエリアからグリーン面まで見渡せるので気持ち良くティーショットを打つことが出来ます。グリーン右手前には3つの大きなバンカーが連なるので左側から攻略しましょう。
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3番ホールは142ヤードの打ち上げとなるパー3ホールです。ガードバンカーは深く、グリーンはまるで3つのグリーンを繋げたように左右に広がっているので、ティーショットは落としどころを考えて打つ必要があります。
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4番ホールは388ヤードの右へドックレックするパー4です。ティーショットが200ヤード以上飛ばないと2打目でグリーンを狙う事は出来ません。またグリーンが大きいのでピンの位置によってはパットの距離感が難しくなります。
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5番ホールは526ヤードのパー5ホールです。ティーイングエリアからはやや打ち下ろしですが、グリーン手前から打上げになり、グリーンの周囲には8つものガードバンカーが並んでいるのでアプローチショットは十分に注意して打つ必要があります。
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6番ホールは363ヤードのパー4ホールです。ティーイングエリアから打ち下ろしですが、正面にフェアウェイに高い木がありこれを越すショットが必要です。またグリーン手前100ヤードにはフェアウェイを遮る大きなクロスバンカーが2つあるので注意が必要です。
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7番ホールは193ヤードの比較的長いパー3ホールです。広々としてバンカーもありませんが、グリーンが大きくアンジュレーションもきついのでパーを取るのは簡単なホールではありません。
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8番ホールは359ヤードの真っすぐで比較的短いパー4ホールですが、ティーイングエリアの前には池があり木立もあるのでプレッシャーを感じます。また全長が50ヤード近くある巨大なグリーンで周囲には大きな4つのガードバンカーがあり、正確なアプローチショットも必要です。
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9番ホールは379ヤードで200ヤード付近から左に大きく曲がるパー4ホールです。180ヤード付近の角には3つのクロスバンカーがあるので右側から攻める必要あります。また十字のような形のグリーンは6つもの大きなバンカーが二重にガードし、花道も狭いのでアプローチショットは慎重に打つ必要があります。
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東コースは3,306ヤードで400ヤードを越えるパー4ホールも幾つかあり、北海道らしい雄大なコースです。
1番ホールは532ヤードのフェアウェイがS字を描くパー5から始まりますが、コースはフラットで広々しており、プレッシャーを感じることなく伸び伸びとプレーできるホールです。220ヤード付近右手に二つのクロスバンカーがあるので注意が必要ですが、ガードバンカーは左側に一つあるだけです。
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2番ホールは398ヤードのパー4ホールです。ここもフェアウェイは広く真っすぐで、ガードバンカーはグリーン左手に3つありますが、右手はグラスバンカーのみです。
全長44ヤードの大きな縦長グリーンは3段に分かれているので、ピンの位置によってアプローチの距離を慎重に確認する必要があります。
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3番ホールは194ヤードと距離の長い谷越えの難しいパー3ホールです。しかも上りなのでティーショットは十分な距離が必要であり、グリーンは縦長で全長47ヤードあるのでパーを取るのは容易ではありません。
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4番ホールは400ヤードと比較的長いパー4ホールです。フェアウェイは広々しているので伸び伸びと打てますが、無理に2オンを狙わず得意な距離のアプローチショットを残す事がスコアメイクに繋がります。
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5番ホールは530ヤードの距離のあるパー5です。フェアウェイは真っすぐですがグリーンに近づくに従い左右が絞られ、左手にはOBもあるので注意が必要です。グリーンは左右に長いですが花道も広いので真ん中から狙いましょう。
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6番ホールは139ヤードの池越えの印象的なショートホールです。池はフェアウェイの左右一杯まで広がっており、逃げ道は殆どなくティーショットは正確な距離感と方向性が求められます。
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7番ホールは337ヤードの短めのパー4ホールです。フェアウェイは真っすぐですが途中に木立があり注意が必要です。またグリーンは左に大きく傾斜しており、その先には3つのバンカーが待ち構えているので侮れないホールです。
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8番ホールはティーイングエリアが使用するティーにより2つに分かれている変わったパー4ホールです。グリーンは打ち上げで右の木立の影にあり、手前に3つのガードバンカーが連なっているのでアプローチが難しいホールです。
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最終9番ホールは396ヤードの見晴らしの良い打ち下ろしホールです。200ヤード付近には左右にバンカーがあり、左手にはOBも迫っているのでティーショットは慎重に打つ必要あります。
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基本的にどのホールも北海道らしく広々としていますが、ラフは深くグリーンは大きくてアンジュレーションも多いので簡単には廻れません。しかし、雄大な景色の中でプレーするとスコアも気にならないほどの爽快感を感じる事でしょう。
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北海道では原則18ホールスループレーなのでゴルフ終了後に木の温もりを感じるクラブハウスのレストランでゆっくりと食事を摂る事ができます。
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千歳空港や札幌市内からのアクセスも良く快適にゴルフを楽しめるコースです。
是非、大志を抱いてゴルフを楽しんで下さい。
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クラークカントリークラブ
住所 | 北海道北広島市三島113 |
電話番号 | 011-377-3131 |
ウェブサイト | https://www.clark-cc.jp/ |