和食目的地

【伊勢志摩】海女小屋体験施設「さとうみ庵」 – 海女さんのお話を聞きながら、新鮮な海の幸に舌鼓を打つ

和食

2024年8月末に訪れた三重県志摩市。日本の調味料の始まり「鰹節」について学んだあとやってきたのは、海女小屋体験施設「さとうみ庵」。

海女とは素潜りで貝や海藻を採取する漁法を行う女性たちのことです。起源はハッキリとは分かっていませんが、その歴史は古く、縄文時代中期頃から海女が使ったと思われる貝類を取るための道具が発見されていることから、日本最古の海女は5000年ほど前だと考えられています。

ウェットスーツと足ヒレのみをつけて素潜り量をする海女漁はとにかく体力が必要。海女さん達は漁を終えると海女小屋に行きます。そこは海女さん達が薪の火で暖を取ったり(‟薪の火じゃないと風邪をひく”と言われているらしい)、おやつを食べながら休憩をしたり、仲間同士で囲炉裏を囲みながら談笑をしたりと、大事な体力回復・コミュニケーションの場となっています。

そんな海女小屋文化を体験するためにやってきたのが、こちらの「さとうみ庵」です。海女さんの貴重なお話を伺いながら、海女さんが一つ一つ丁寧に焼いてくれる新鮮な海の幸をいただくことができます。

担当してくださるのは海女歴54年のベテラン海女さん。よろしくお願いします♪
これから焼いてくださる食材を見れてくれました。豪華~!!

まず焼いてくださったのはヒオウギ貝。聞いたことのない貝名で「はて?」と思ったのですが、それもそのはず。ヒオウギ貝は水揚げすると一日しか持たないため、地元でしか食べられない貝なのだそう。葉っぱ貝とも呼ばれる殻の色が特徴的な二枚貝です。炭火の上でしばらくするとパカっと口をあけてくれました。

「味付けなしでどうぞ」とのことだったので、何もつけずにいただきましたが、プリプリと弾力のある身からは貝のエキスがじゅわ~とうま味たっぷりで美味しかったです。サザエも一緒に焼いてくださいましたよ。

何もつけなくてもジューシーで美味しいスルメイカ。「お好みでどうぞ」と七味唐辛子、しょうゆ、マヨネーズも出していただいたので味変もしながらペロリ。

今日のメインディッシュ、アワビ!とっても大きいアワビ、東京で食べると値段は数倍高くなるそうです…。このエリアでは10.6cm以下の大きさのアワビは漁獲してはいけない制限があるのだとか。大きさの他、一日の量の回数や時間も制限があり、”採りすぎない”という意識を持っています。海女漁が乱獲を防ぎ資源を守りながら自然と共存する持続可能な漁業のモデルとして高く評価され、近年世界から注目を集めているのにはこういう意識があるからなのですね。

ところで、身の色がカラフルなのが不思議で海女さんに聞いてみたところ「食べている海藻の違いで色も変わるんだろうねえ」ということでした。肝心の味は…それはもう美味しゅうございました。肝は食べたことが無く、また、苦手意識があるので恐る恐る口にしてみたのですが、「え!いける!」と自分の新しい扉が開いた瞬間でした。

ひとつひとつが大きい新鮮な貝類に加えて、ひじきの釜めし、あおさのお味噌汁、干物と本当に大満足のランチとなりました。

食事を楽しんでいる最中には、丁寧に貝類を焼いてくださっている合間にもどのように海女漁にでるのか、どうすれば海女になれるのか、また現在の海女不足の問題や環境問題など海女にまつわるお話をたくさんしていただきました。

具体的には、ゴーグルは曇り止めに歯磨き粉を使うんだよ、といった海女さんならではのあるある話や、地球温暖化の影響でアワビの餌となる海藻があまり育たなくなったためアワビの漁獲量も減ってしまったというお話、海が荒れる日が多く昔に比べると海女漁に出られる日数がグッと少なくなってしまったことなど、どれもとても興味深く、そして学びになる有意義な時間となりました。

新鮮な海の幸を堪能できるのはもちろん、現役の海女さんから直に海女文化について学べる貴重な機会、みなさんも是非訪れてみてくださいね。ただ、風向きによっては煙や煤が舞ってくるので汚れても良い服装で行かれることをおすすめします。

海女小屋体験施設 さとうみ庵

住所三重県志摩市志摩町越賀2279
電話番号0599-85-1212
営業時間11:00~20:30(最終19:00スタート)
電話でのお問い合わせは 9:00~17:00
※食材や海女さんの手配の都合上、2日前までに要予約
定休日年末年始、その他臨時休業あり
ウェブサイトhttps://satoumian.com/