【青森】青森県立美術館 – 奈良美智をはじめ青森ゆかりの作家作品が一堂に会する場所

【青森】青森県立美術館 – 奈良美智をはじめ青森ゆかりの作家作品が一堂に会する場所

東北新幹線の終着駅・新青森からバスで約10分程度の場所に、今回ご紹介する「青森県立美術館」があります。青森県立美術館は2006年開館、奈良美智、棟方志功、成田亨など青森ゆかりの作家を中心とした作品を展示しています。また、展示だけではなく建築やデザインなど細部にまでこだわった美術館自体も魅力です。

美術館を設計したのはニューヨーク五番街、銀座並木通り、大阪などルイ・ヴィトンの店舗を多く手掛けている青木淳氏。美術館の隣に立つ三内丸山遺跡(縄文遺跡)の発掘現場から着想を得て出来上がったこの建物には、トレンチ(濠)のように地面が幾何学的に切り込まれていて、その上から白い煉瓦が覆いかぶさっています。ホワイトキューブと土が対立しながらも共存する、いわば縄文と現代が融合するユニークな空間です。

統一された同館のシンボルマークやサインを担当したはデザイナーの菊地敦己氏。入り口には木のマークがずらっと並んでいるのですが、こちら、夕暮れになると青く光り、“青森”を表現しています。

それでは美術館の中へ。常設展のチケットを購入すると、まずはエレベーターで地下に降ります。鑑賞のスタートは高さ20メートルの大きなアレコホールから。ここには、巨匠マルク・シャガール(1887-1985)によるバレエ「アレコ」の背景画が展示されています。これらの背景画はユダヤ人家庭に生まれたシャガールが第二次世界大戦中にナチス・ドイツの迫害から逃れるために亡命したアメリカでバレエ・シアター(現アメリカン・バレエ・シアター)」からの依頼で制作したもの。

9m×15mの大きさの背景画はとても見応えがあります。私はシャガールの絵を見たことがなかったのですが、白馬のものはなんだか既視感が・・・なんでだろうと思ったら、スタジオジブリ「魔女の宅急便」のウルスラ(キキが出会った絵描きの少女)が描く絵に少し似てるんだと発見。幼い頃から見ていたジブリに繋がってなんだかシャガールが一気に身近に感じました。

インパクトのあるアレコホールを抜けると、青森が誇る作家の作品が展示されています。特に印象に残ったのはウルトラマンやウルトラマンの怪獣のデザインをした成田亨、世界のムナカタと呼ばれた版画家・棟方志功、世界で最も有名な現代美術家・奈良美智の作品です。その他の作家さんの作品も素晴らしくて、青森にはこんなにも才能ある人が溢れているんだなあと感嘆しました。(※展示室は一部を除き撮影禁止となっています。)

▲ 棟方志功の作品

ちなみに青森市内にある棟方志功記念館ではより多くの棟方志功作品を展示しているので、ここに来て興味を持った方は是非訪れて見てください。

ところで、展示室の外にも必見の作品があるんですよ。私が青森県立美術館を訪れた主目的がこちら。

あおもり犬 / 奈良美智(2005)

青森県立美術館のシンボルとも言えるのが、美術館開館と同時に完成した奈良美智作の「あおもり犬」。奈良美智作品が展示されている部屋からも鑑賞することが出来ますが、美術館を一度出てあおもり犬への通路を通るとより近くで鑑賞することが出来ます。

高さ8.5メートルのこちらの作品は、中身が鉄筋コンクリート、外側はモルタルと樹脂で出来ており、製作に約1年かかったそうです。

ところで、この作品を見て何か不思議に思うところはありませんか?そう、あおもり犬には上半身しかないのです。青森県立美術館は、前述の通り“縄文遺跡の発掘現場”から着想を得ているのですが、これはあおもり犬がいる場所にも当てはまります。あおもり犬の両サイドに聳える土壁はまるで遺跡発掘現場のようで、あおもり犬は今まさに発見されて上半身まで掘り出された様子を表しているのです。つまり、あおもり犬は古くからこの地に居て、美術館開館と同時に掘り出されたというストーリーが背後にあります。ここからは、“元々この地にある文化を誇りにしよう”という奈良美智の想いが込められている気がします。

Miss Forest / 森の子 / 奈良美智(2016)

美術館南側の八角堂の真ん中に佇んでいるのが「Miss Forest / 森の子」です。那須(栃木県)のN’s Yardの庭にあるものと形は一緒ですが、こちらの方が少し大きく作られています(高さ約6メートル)。

製作を開始したのは東日本大震災の後で、震災の影響により創作に対する様々な思いを馳せながら完成にたどり着いたと言います。

同じ型の作品にはN’s Yardで出会っていましたが、見る場所が違うと雰囲気も変わる感じがしました。N’s Yardは草花が咲いているその場所に立っていて、植物や鳥たちと仲良く暮らしている感じ。八角堂のものは、なんだか大地を司っているような・・・。周りが囲まれていて空が見えているからかなあ。とにかく、同じ作品なのに置く場所によってこうも感じ方が異なるというのは発見でした。

あ、でも今この写真を見ていたら、土からニョキニョキ生えて来たタケノコみたいでとっても可愛く思えて来た。

あなたにはどう感じるのでしょう、実際に訪れて見てみてください♪

青森県立美術館

住所青森県青森市安田字近野185
電話番号017-783-3000
開館時間9:30 – 17:00(入館は16:30まで)
休館日毎月第2、第4月曜日 (この日が祝日の場合は、その翌日)
年末年始(令和3年度は12月27日から1月1日まで)
入館料<コレクション展>
【一般】510円
【大学生・高校生】300円
【中学生・小学生】100円
ウェブサイトhttp://www.aomori-museum.jp/ja/