【金沢】鈴木大拙館 – 世界に禅を広めた仏教学者、鈴木大拙について知る

【金沢】鈴木大拙館 – 世界に禅を広めた仏教学者、鈴木大拙について知る

鈴木大拙とは?

鈴木大拙(1870-1966)は石川県金沢市出身の仏教学者、文学博士です。禅をはじめとする仏教や、東洋・日本の文化や思想を海外に広めたことで知られています。著書約100冊のうち、23冊が英語で書かれているのに見て取れるとおり、海外での知名度も高く、多くの人に影響を与えています。スティーブ・ジョブズも大学の図書館で一冊の本に出会い「禅」の思想に影響を受けたそうです。

鈴木大拙館

谷口吉生設計の建築

鈴木大拙館の設計は、父・谷口吉郎が石川県金沢市出身ということで、この土地に縁のある建築家・谷口吉生。「ニューヨーク近代美術館新館(MoMA)」、「GINZA SIX」などを手がけた世界的建築家で、金沢では他に「谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館」の設計もしています。他の谷口吉生建築同様、無駄のないシンプルなデザインが素敵。

敷地の特長である小立野台地から続く斜面緑地を背景に、石垣や水景などによって金沢を象徴する景観を創造し、その中で鈴木大拙の世界を展開していくことを設計の基本方針としました。
建築は、「玄関棟」「展示棟」「思索空間棟」を回廊で結ぶとともに、「玄関の庭」「露地の庭」「水鏡の庭」によって構成されています。この3つの棟と3つの庭からなる空間を回遊することによって、来館者それぞれが鈴木大拙について知り、学び、そして考えることが意図されています。

鈴木大拙館「建築の設計方針」

知る・学ぶ・考える“3つの空間”

鈴木大拙館は以下の3つの空間で構成されています。

① 鈴木大拙を知る「展示空間」:大拙の写真やインタビュー、弟子の岡村美穂子氏の言葉などから大拙自身について知識を深めることができる場
② 鈴木大拙の心や思想を学ぶ「学習空間」:大拙の著書や関連のある書籍を読むことができるライブラリー
③ それぞれ自らが考える「思索空間」:何を考え、どう過ごすかは訪問者に委ねられている空間

「展示空間」と「学習空間」は写真撮影禁止なので、ここでは「思索空間」のみご紹介します。「思索空間」に入ると、そこにはシンプルな畳張りの椅子が置いてあるだけです。ここでは椅子に座って水盤を眺めるなり、靴を脱いで畳に寝転がるなり、あなたが思うように過ごせば良い空間。

私が訪れた時には天井のまあるい照明の光が壁に反射して揺らめいている様子がとても印象的で美しく感じました。照明は人工物ですが、反射した光は太陽光など自然がないと成り立たないもの。鈴木大拙の言葉で“人間にはどうすることもできない「自然」がある幸せ”という意味を含んだものがあるのですが、この「思索空間」にいる間は、人並みですが確かにそれを感じることができた気がします。

水鏡の庭

鈴木大拙館の見どころの一つといえば、この「水鏡の庭」(真ん中に浮かんでいるような白い建物が「思索空間」です)
静寂な雰囲気と無駄のなシンプルな建築、たまに現れる波紋がずっと眺めていたくなるような気持ちにさせます。ここでは今、目の前にある風景や現象(空の移り変わりや不定期に現れる波紋など)のみに意識がいき、自分も“ただここに在るもの”という気がしました。禅については深く理解はできていませんが、少し無心になれた気がして禅の心を少しだけ知れたような…。悩みがある方、ここでぼーっとするのオススメです!

ただ綺麗な建築が見たいから、静寂に包まれたい、のんびりしたい、など禅や哲学にあまり関心がなくても受け入れてくれるのが「鈴木大拙館」。ただそこにいるだけで心が洗われるので、金沢観光の際に是非訪れて見てください。

鈴木大拙館

住所石川県金沢市本多町3丁目4番20号
電話番号076-221-8011
開館時間午前9時半から午後5時(入館は午後4時半まで)
休館日毎週月曜日(月曜日が休日の場合はその直後の平日)
年末年始(12月29日から1月3日)
※展示資料の整理等のため休館する場合があります。
入館料【一般】310円
【65歳以上 / 障害者手帳をお持ちの方およびその介護人】210円
【高校生以下】無料
駐車場なし(近隣のコインパーキングを利用)
ウェブサイトhttps://www.kanazawa-museum.jp/daisetz/index.html