【かほく】石川県西田幾多郎記念哲学館 – 安藤忠雄が設計した建築の美しさも必見!日本で唯一の“哲学博物館”

【かほく】石川県西田幾多郎記念哲学館 – 安藤忠雄が設計した建築の美しさも必見!日本で唯一の“哲学博物館”

鈴木大拙と西田幾多郎 ー 石川県が生んだ日本を代表する哲学者です。実はこの二人、第四高等中学校の同級生で親友同士。そんな二人の思想や軌跡を伝える施設がそれぞれの故郷にあります。金沢市にある「鈴木大拙館」は谷口吉生設計、かほく市にある「石川県西田幾多郎記念哲学館」は安藤忠雄設計と、その建築の美しさでも注目を集めています。哲学は難しくて分からないという方も、行ってみると何か「感じる」ことができるかもしれません。

以前「鈴木大拙館」についてはご紹介したので、今回は「石川県西田幾多郎記念哲学館」についてご紹介します。

西田幾多郎とは?

西田幾多郎(1970-1945)は石川県かほく市出身の哲学者。代表的な著書は『善の研究』。京都大学名誉教授。

1911年に発表した『善の研究』は善や宗教などについて語ったもので、西田幾多郎の思想家としての名を世に広める代表作となりました。それまでの主観と客観を対立させてとらえてきた西洋哲学とは異なり、主観と客観という二元論を乗り越えるべく「純粋体験」という概念を考案し、「日本最初の哲学書」と呼ばれています。

「善/悪」「一/多」「愛/知」「生/死」といった様々な二項対立は、一見矛盾しているようにみえて、実は「一なるもの」の側面であり、「働き」であることが分かります。このような対立を包み込んだ「自覚」「場所」をキーワードとする独自の体系は「西田哲学」として世界に知られています。

石川県西田幾多郎記念哲学館

安藤忠雄設計の建築

「石川県西田幾多郎記念哲学館」の設計は世界的建築家・安藤忠雄。プロボクサーから独学で一級建築士の資格を取得、建築家に転身した異色の経歴を持つ建築家です。国内では「表参道ヒルズ」、六本木にある美術館「21_21 DESIGN SIGHT」、香川県・直島の「地中美術館」、海外ではアメリカ・テキサス州の「フォートワース現代美術館」、中国・上海の「上海保利大劇場」など多くの代表作があります。安藤建築の醍醐味が “コンクリート打ちっぱなし” と聞くとピンと来る方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「石川県西田幾多郎記念哲学館」も安藤建築らしくコンクリート打ちっぱなし。直線的な外観がとても素敵です。内部はまるで迷路のように入り組み、来館者が「迷い、考えること」が出来るようになっているとのこと。

哲学館は、展示室がある『展示棟』と、図書室・ホール・展望ラウンジ・喫茶室などを備えた『研修棟』に分かれていて、研修棟のみの利用なら、観覧料は必要ありません。展示棟に入る場合はこちらで観覧料を支払います。

展示棟

こちらが展示棟への入り口。展示棟は撮影禁止。入り口から廊下だけなら撮影OKとのことだったのでその写真を。コンクリート打ちっぱなしの建物に、ガラス張りの窓から入る光がとても綺麗です。

展示室1「哲学へのいざない」

なかなか身近に感じることのない哲学ですが、哲学について考えるきっかけを作ってくれる展示室。
例えば、井戸を使った展示では、普段はただ「井戸がある」と思うだけの行動を「私が井戸を見ているのか、井戸が私を見ているのか」と考えるきっかけを与えてくれます。

©️ 石川県西田幾多郎記念哲学館
展示室2「西田幾多郎の世界」

ここでは約二百点におよぶ西田幾多郎の遺品、原稿、書簡などと解説により、彼の思索の軌跡や人となりを知ることができます。家族との関わり、友人との関わりなども示されており、西田幾多郎への理解を深められる展示室です。

©️ 石川県西田幾多郎記念哲学館
展示室3「西田幾多郎の書」

西田幾多郎は哲学だけではなく、歌を詠み、書を記しました。彼の「書」の展示空間です。この展示室の先には「空の庭」と名付けられた空間があります。天井が四角に切り取られた空間があるだけなのですが、その時の天気のみを感じる何もない空間です。21世紀美術館の「ブルー・プラネット・スカイ / ジェームズ・タレル」の様でした。

©️ 石川県西田幾多郎記念哲学館
番外編「ワードカード」

展示棟の様々なところに西田幾多郎の言葉が記されたワードカードが置いてあります。自由に持ち帰ることが出来るので自宅でゆっくり言葉の意味を考えてみたくなります。

研修棟

西田幾多郎に関する書籍のほか、哲学入門書から専門書まで幅広く収集した「図書館」や、ちょっと一息つける「喫茶店」、研修室などを備えています。

ホワイエ

哲学館で最も印象的なのが、この空間。コンクリートで出来たすり鉢状の円形空間で、円形の大きな天窓が美しい。展示室でも「円」を使って哲学に触れるきっかけを作っていましたが、ここでも円を印象的に見せることで、普段とは違う考えを巡らせられる気がします。

普段は椅子が置いてあり、自由に座って考えを巡らせる地下1階は、冬なのでこたつに。

展望ラウンジ

エレベーターで5階に上がると、かほく市の街並みが一望できる展望ラウンジがあります。自然光がいっぱい入る開放的な空間はぼーっとするにもオススメです。

金沢市内から車で30分ほどで行ける「石川県西田幾多郎哲学記念館」、いかがでしたか?アクセスが良いわけではないのでMUSTスポットではないですが、金沢観光のスケジュールに余裕がある方、哲学に興味がある方、建築がお好きな方は是非。特に金沢市の「鈴木大拙館」とセットで訪れると二人の関係性や思想をより深く知ることが出来るのでオススメです。

石川県西田幾多郎哲学記念館

住所石川県かほく市内日角 井1
電話番号076-283-6600
開館時間9:00~17:00(入館は16:30まで)
閉館日月曜日(祝日の場合は翌平日)
年末年始(12月29日~1月3日)・展示品の入替期間・メンテナンス期間
拝観料【一般】300円
【65歳以上】200円
【高校生以下】無料
【65歳以上 / 障害者手帳をお持ちの方およびその介護人】無料
ウェブサイトhttp://www.nishidatetsugakukan.org/index.html