日経新聞朝刊の最終面に連載されている「私の履歴書」は政財界や文化・芸術界の著名人が出生から今に至るまでの半生を書き連ねる履歴書風の自伝で、1956年から掲載が始まり約66年も続く人気の長寿コラムです。1か月間毎日一人の話が続きますが、先月(4月)は創業101年を迎えた世界二大建設機械メーカーである「コマツ」の社長・会長を務め、現在は同社特別顧問の野路國夫氏でした。
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同氏がコマツの社長を務めた時代はリーマンショックや東日本大震災、超円高など未曾有の出来事が続く時期で、その困難をどう乗り越えて小松を優良企業に育てたのかと言う話は企業の危機管理の点からも興味深い連載でした。
連載最終回にはゴルフ場のグリーン上で夫人と並ぶゴルフ好きらしい近影が掲載されていましたが、その野路氏が理事長を務めるのが東京都あきる野市にある「立川国際カントリー倶楽部」です。
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奇しくも日経新聞で「私の履歴書」の掲載が始まった翌年1957年にコマツ(小松製作所)の元会長で農商務官僚や政治家であった河合良成氏ら多くの財界人によって設立され、1959年にコースが開業した60年以上の歴史がある老舗コースです。
一説では野路氏も新人時代に配属されたコマツの実験部が、ブルドーザーなどの試作機の耐久性を調べるためにゴルフ場建設地を活用したとも言われています。
当初設立母体の名称は「世界友の会・立川国際カントリー倶楽部」と言ったそうで、活動目的は青少年・婦人を主とした国際親善であり、その一つが日本の桜の苗木や種を諸外国に提供し、交換として各国の種苗を寄贈してもらって日本で育てると言うものでした。その後名称から世界友の会は外れましたが、事業の繋がりから山林や農地だったこの地域の開発が進み、コース周辺の住所は草花となりコース名にも草花が冠されています。
1958年「草花コース」9ホールで仮開場、翌1959年に18ホール、6,525ヤード、パー71で本開場し、その後1960年には「奥多摩コース」18ホール、6,805ヤード、パー73が開場して東京都で唯一の36ホール大型コースとなりました。
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平成に入ると草花コースを閉鎖し6年を費やして傾斜を緩和し、距離も伸ばす大改造工事が行われました。その後更にトンネルを新設するなどして2つのコースのローテーションを変更し、近代的なレイアウトに生まれ変わりました。
そして開場から50年を経た2012年にはスタイリッシュな新クラブハウスと、屋根付きでバンカーやアプローチ練習も出来る260ヤードのドライビングレンジが完成しています。
丘陵地の自然の地形を存分に生かした36ホールのコースレイアウトはいずれも個性的です。「草花コース」は大改造で少し平坦になったとは言え打ち下ろしや打上げはあり、川越え、池越えになどに加えてフェアウェーやグリーンには微妙なアンジュレーションがあって変化に富んでいます。
一方の「奥多摩コース」は「草花コース」より起伏が激しく、正確なショットが要求される難易度の高いコースです。特に最終18番ホールはグリーン前に大きな池があり、最後までスコアが読めず、挑戦しがいがあります。
両コース共に自然の地形を活かしたレイアウトはいずれも個性と戦略性があって飽きる事なく、フェアウェーやグリーンのコンディションは常に整備が行き届いています。
フェアウェーは必ずしも広くはないので、ドライバーを振り回して飛距離を出すよりは、正確なショットでしっかりコースマネージメントをする事がスコアメイクの秘訣でしょう。
それでは草花コースの主なホールを見て行きましょう。
1番ホール(337ヤード、パー4)スタートホールは比較的距離の短いミドルホールです。200ヤード付近をクリークが横切っているので、ティーショットは短めのクラブで刻み、クリーク手前のフェアウェーの平らなところから二打目でグリーンを狙う事がお勧めです。
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2番ホール(371ヤード、パー4)は緩やかな上り坂で距離が長く感じられるミドルホール。2打目は大きめのクラブを持ちたいが、やや右にドッグレックしているのでドローヒッターは左側のOBは要注意、無理せずに3オン狙いが安全です。
3番ホール(327ヤード、パー4)左にドックレックしている短めのミドルホール。ショートカットすると左のクロスバンカーに捕まるので、フェアウェーが広めの右側方向がねらい目でしょう。
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4番ホール(161ヤード、パー3)ティーグランドの正面に大きな池があるショートホール。距離もあるので大きめのクラブで無理せずに二つのグリーンの真ん中を狙いたいです。
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5番ホール(472ヤード、パー5)距離は短めのロングホールですが、グリーンまで上りが続くので簡単ではありません。グリーンに近づくとフェアウェーも絞られていくので2打目以降もショットの方向性が重要です。
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6番ホール(359ヤード、パー4)ティーグランドの前50ヤード付近からスキー場のような下り斜面となり、ティーショットが上手く傾斜に乗れば300ヤードショットも夢ではありません。普通に飛んでも200ヤード以上は転がっていくので、飛ばそうと力まずに方向性を重視したボールを打つことが大切です。
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7番ホール(362ヤード、パー4)今度は6番で来た道を上って行くミドルホールで、左側が狭くて隣のホールに行きやすいのでティーショットはやや右側狙いです。グリーン手前は急な上り傾斜で大きめのクラブを持ちましょう。
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8番ホール(148ヤード、パー3)池もなく広々としたショートホールでパーを取りやすいホールですが、高台にあるので風の影響に注意が必要です。
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9番ホール(509ヤード、パー5)下り傾斜が続くロングホールで、ティーショットを上手く打てばかなり転がって距離が稼げます。フェアウェーはグリーン直前で左に鋭く曲がり、角には松の木とクロスバンカーが立ちはだかっています。下り傾斜のライから松の上を越える高い球を打つのは難しく、安全に行くには右側を廻る必要があります。
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ハーフを終えたら改装された綺麗なレストランで食事です。早めのランチの時にはハーフサイズのメニューがあるのが親切です。
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10番ホール(474ヤード、パー5)は距離のないロングホール、ティーショットは打ち下ろしで広いフェアウェーに向けて伸び伸びと打てます。二打目以降は緩やかな上りとなり、右手にあるグリーン手前の池が見えません。方向性重視で左側から慎重にグリーンを狙いましょう。
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11番ホール(145ヤード、パー3)ティーグランドの前に比較的小さな池があるショートホールです。距離はありませんが、池に気を取られると右側の崖下に落としやすく注意が必要です。
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14番ホール(388ヤード、パー4)比較的長めのミドルホールでティーショットは打ち下ろしとなり、2打目を打ちやすくするには左のクロスバンカー右側を狙いたいホールです。但し、クロスバンカーの先には大きな池があり、左に行きすぎると危険です。2打目以降は登りとなり距離も残るので、大きめのクラブでグリーンセンターを狙いましょう。
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15番ホール(174ヤード、パー3)池などはありませんが距離がしっかりあるショートホールで、なかなかワンオンできません。無理せずツーオンワンパットを狙うのも手です。
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17番ホール(304ヤード、パー4)短い打ち下ろしのミドルホールで、ドライバーを持つと突き抜けてしまします。ショートカットを狙うと左側にある大きなクロスバンカーに捕まるので右側の広いエリアに確実にティーショットを置きましょう。グリーンはほぼ直角に左側に曲がった先にありますが、そこからはアプローチショットで狙えますが、グリーンは横長なので距離をきちんと合わせる必要があります。
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18番ホール(487ヤード、パー5)最終ホールは9番ホール同様の豪快な打ち下ろしのロングホールで、距離は比較的短いのでバーディーを狙いたいホールです。左側にはフェアウェーに沿ってクリークが走っているので、ティーショットは左側の山裾狙いが安全です。グリーンは急な打ち上げなので2打目はフェアウェーキープが重要でアプローチショットが打ちやすいところにボールを置きたいです。
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野鳥が集まる事で有名な緑深い林と、春の桜・秋の紅葉など四季を彩る数多くの樹木や草花に囲まれてのプレーを終えると、東京のコースであった事を忘れてしまいます。
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しかし、プレー後に都心まで最寄りの福生駅から電車で約45分で帰る事が出来ると東京のコースでプレーした事を実感できます。車で帰る場合でも中央道八王子ICまで約20分、圏央道なら日の出ICまで約10分と高速道路でもアクセスが良い事も魅力ですね。
自然溢れる大都市東京のビッグコースで是非ゴルフを楽しんでみて下さい。
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立川国際カントリー倶楽部
住所 | 東京都あきる野市草花2390 |
電話番号 | 042-558-1711(代表) |
ウェブサイト | https://www.tachikawakokusai.co.jp/ |