【兵庫】太平洋クラブ宝塚コース – 北摂の山並みが美しい丘陵コース

1986年に一作目が掲載されたアニメ「JOJOの奇妙な冒険」は今年連載開始35年を迎えたそうです。雑誌の長期連載に加えて単行本シリーズは100巻を越え、全世界累計発行部数は何と1億2,000万部を突破する日本を代表する人気アニメ作品です。作者の荒木飛呂彦とご縁があり、その記念イベントと祝賀式典に出席する機会がありました。各界の著名人の方々が参加される中の一人が元宝塚歌劇団のトップスター大地真央さんでした。荒木さんも年を感じさせない気さくな方ですが、大スターの大地さんも同じく気さくで優しい人柄を感じさせるチャーミングな方でした。

未婚の女性だけで構成される宝塚歌劇団は1914年の初公演以来110年近く続き、現在も幅広い世代の女性に大人気を博しています。公演は本拠地である兵庫県宝塚市と東京の二か所にある大劇場で年間9回程度開催され、演目は古今東西の広いジャンルから多岐に亘り創作されたミュージカルやレビューなどで女性ならではの華やかな舞台が特徴です。憧れの劇団員（タカラジェンヌ）を目指す少女たちは宝塚市にある宝塚音楽学校に入学する事が条件ですが、その入試倍率は過去80倍（82期）を超えた事もあり、最近は減少傾向にあるとは言え今年入学の110期生でも20倍近い倍率で狭き門となっています。

激しい競争を勝ち抜いて劇団員となっても、舞台で重要な役を与えられるのはごく一部のトップスターのみです。大地さんはそのトップスターとなって宝塚で大活躍し、1985年の退団後も女優としてミュージカルなどを中心に舞台やテレビで活躍され、2014年には劇団創立100年を記念して設立された「宝塚歌劇の殿堂」の初回メンバー100名の一人に選ばれて殿堂入りしています。退団後37年を経た今でも女王の風格をもって女優として輝き続けている方ですが、日常ではそれを見せない立ち振る舞いが立派だと思いました。

その兵庫県で有名なのは宝塚歌劇だけではありません。日本のゴルフコースは全国に約2,300か所あると言われていますが、都道府県別のランキングで1番多いのは広大な土地のある北海道（169か所、2022年）ですが、それに続き二番目に多いのが兵庫県（159か所、同）なのです。しかも単に数だけでなく日本最古のゴルフ場である「神戸ゴルフ倶楽部」や、オーガスタやセントアンドリュースと並びゴルフの聖地ゴルフミュージアムのある「廣野ゴルフ倶楽部」始め、「鳴尾ゴルフ倶楽部」「西宮カントリー倶楽部」「芦屋カンツリー俱楽部」など名だたるコースがあることでも知られています。

そのような名門コースを生んだ土壌がある兵庫県には他にもプレーしたくなる名コースが沢山あり、その一つが「太平洋クラブ宝塚コース」です。太平洋クラブはバブル経済崩壊後の混乱から2012年の経営破綻を経験したのち、新たなスポンサーの下で「日本が世界に誇れるクラブ」を合言葉に再建に成功した名門ゴルフ場です。「三井住友VISA太平洋クラブマスターズ」を開催する有名コース「太平洋クラブ御殿場コース」を始め、全国に18か所のコースを運営していますが、その一つがこの宝塚コースです。

「鳴尾ゴルフ倶楽部」や「よみうりカントリークラブ」が並ぶ兵庫県の名門ゴルフ銀座ともいえる新名神高速道路沿いにある丘陵コースです。周辺の名門コースと同様に絵画のように美しい北摂の山並みと、四季折々に変化する草花が織りなす景観が美しい事でも定評があります。

コースは名コース設計家として名高い加藤福一の設計により、2001年9月12日に開場しました。フェアウェーは丘陵コースにしては比較的平坦ですが、自然の地形を巧みに活かしたレイアウトは変化に富み、各ホールがそれぞれ異なる印象を与えてくれます。また、良く整備された平均800㎡と大きめのベントワングリーンは絶妙なアンジュレーションがあり、コースの難易度を高めています。スコアをまとめるには正確な距離感と落としどころを間違えない正確なコントロールショットと、グリーンの傾斜を良く読んだパッティングが要求されるホールが少なくありません。

スターティングホールの1番ホール（513ヤード、パー5）はS字にカーブを描く緩やかな打ち下ろしホールです。グリーンはフェアウェーが左にカーブした先の傾斜の上にあり、アプローチに距離を残すと難易度が上がります。3番ホール（141ヤード、パー3）ティーグランドとグリーンの間に大きな池があり、左右にほぼ逃げ道もなく距離の割に難しいホールです。グリーンの先には北摂の山並みが眺められる美しいホールでもあります。

6番ホール（160ヤード、パー3）右側は谷、左側には山が迫っていてフェアウェーがくびれたように狭くなっているショートホールです。距離も比較的長いので、より正確なティーショットが求められます。

9番ホール（424ヤード、パー4）打ち下ろしでティーグランドから250ヤード付近でほぼ直角にドックレックする特徴あるミドルホール。右に折れる角右側には4つのフェアウェーバンカーが待ち構えているがティーグランドからはそれが見えません。更に距離もしっかりとあり、ティーグランドに立つとティーショットの落とし場所が狭く見えます。また、コース内で最も高い位置にあるので風の影響も受けやすい難ホールです。

11番ホール（414ヤード、パー4）距離のあるミドルホールで、フェアウェーは右側の谷を回り込むようにドックレックし、先が見えないのでコースが狭く感じられます。更にフェアウェーは右に傾斜しているため、フェアウェーからのショットもスライスが出やすく右のOBに打ち込む危険が高い難ホールです。

13番ホール（151ヤード、パー3）ティーグランド前からグリーンまで池が続き、池の右側に細いフェアウェーがあります。左奥に伸びる池を越すには150ヤード近いキャリーが必要ですので、自信がないときは右側からツーオンを狙うのが安全でしょう。

15番ホール（523ヤード、パー5）距離のたっぷりあるロングホール。ティーショットで少しでも飛距離を稼ぎたいところですが、ティーグランドの前には池があり大振りするプレーヤーにプレッシャーをかけています。更に二打目以降もフェアウェーの左右にOBがあり、慎重にグリーンを狙う必要があります。

17番ホール（195ヤード、パー3）距離のある池越えのショートホール。池の上をキャリーで越すには180ヤード近い飛距離が必要ですので、右手のフェアウェーからツーオン狙いが安全です。コースの名物でもあるカモの家族がキャディーさんからもらう餌を目当てに賑やかに出迎えてくれます。

ラウンド中には、最新のナビゲーションシステムが搭載されたカートを駆使し、リアルタイムでスコアランキングが更新されるコンペ・リーダーズボード機能を有効活用することで、スムーズなプレーを堪能できます。

グレーカラーの落ち着いた色調の石とセピアカラーで統一された豪華なクラブハウスは重厚にして気品にあふれています。

レストランやロッカールームもセンスよく清潔感溢れ、和風庭園を眺められるゆったりとしたお風呂と共にプレー後の疲れを癒してくれます。

2018年に新名神高速が開通してコースから10分のところに北宝塚スマートインターが出来た事で大阪神戸都市圏からコースへのアクセスが大幅に向上しました。JR福知山線宝塚駅からのクラブバスもあり、車でも電車でもアクセス容易でありながら満足度の高いコースです。もし関西に来られる機会があれば是非ここでのプレーもご検討ください。