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【かすみがうら】セゴビアゴルフクラブ イン チヨダ – 奇才デスモンド ミュアヘッドの造った独創的で美しいスペイン風コース

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ゴルフコース設計家の中には奇才と呼ばれる人物も少なくないですが、デスモンド・ミュアヘッドもその一人でしょう。

1924年に英国で生まれ、ケンブリッジ大学で建築工学、その後アメリカやカナダのブリティシュコロンビア大学で造園学、アメリカのオレゴン大学で園芸学を学んでからゴルフコース設計家となりました。

出典:ミュアヘッドフィールズ

彼の代表作として有名なのは2015年から最近まで毎春LPGAメジャートーナメント初戦「ANAインスピレーション」(前身は「クラフト・ナビスコ選手権」、2022年からは「ザ シェブロン選手権」にリニューアル)の舞台となっていたカルフォルニア州パームスプリングス近くのミッションヒルズCCダイナショアコース(1972年)があります。LPGAメジャートーナメントで唯一毎年同じコースで開催されるので女性版マスターズとも称されました。またこの大会では優勝者が最終18番ホールを囲む池(ポピーズポンド)に飛び込む事が有名でしたが、2023年から舞台がテキサス州「ザ・クラブatカールトンウッズ」に移り、この名物ダイブが見られなくなったのは残念です。

出典:ALBA Net

ミュアヘッドの設計コースは他にも世界のベストコース常連でジャックニコラウスと共作したPGAの「ザ・ メモリアルトーナメント」開催コース、オハイオ州コロンバス近郊のミュアフィールドビレッジ(1974年)があります。地元出身であるニコラウスがホストを務めるトーナメントであり彼自身も2度の優勝を飾っています。毎年全米オープンの2週間前に開催される事からその前哨戦とされ、最多5回の優勝を誇るのはタイガーウッズです。彼は2012年この大会の優勝により帝王ニクラウスと並ぶPGAツアー73勝目を挙げた事はまさにメモリアルと言えるでしょう。日本の松山英樹は2014年に優勝を飾っていますが、昨年の大会ではが首位と2打差で最終日を迎えて2度目の優勝が期待されましたが、結局4打スコアを落として16位に終わりました。

©Getty Images

日本でも同じくジャックニコラウスと日本で初めて共作した「ニューセントアンドリュース ゴルフクラブ ジャパン」(栃木県)のニューコースがあります。

アメリカンスタイルの美しいコースはニクラウス自身が「少しハードに設計し過ぎた」と省みるほど、国内屈指の難コースとして有名です。

そしてここ「セゴビアゴルフクラブインチヨダ」(茨城県)も魅惑の国スペインをテーマにした奇才ミュアヘッドらしい独創的デザインが溢れ、自然と調和しながらも文化的な香りすら漂う洗練された美しいコースです。

ミュアヘッド自身が「設計を始めると、次々とコースに織り込みたい哲学的、心理的、芸術的アイデアが溢れてきた。特に各ホールに特徴を持たせ、プレーヤーの印象に強く残るコースにすること。世界のトッププレーヤーからビギナーまでその技量に応じて楽しめることを心がけた。」と語っていますが、プレーするとそれが実感できます。

しかし、比較的フラットな丘陵コースですが個性的な造形により視覚が惑わされる事もあり、正確なショットと戦略性が求められる難易度の高いコースでもあります。

またフルバックティーからは7,000ヤードを越える距離があり、プロトーナメントでも使用されるチャンピオンコースでもあります。グリーンはベント1グリーンでコースレートは73.6です。広々とした練習場も完備しています。

地元の鈴木陶器瓦製作所を母体とした中堅ゴルフ場開発会社の太平洋観光開発グループが総力を上げて建設しバブル末期の1993年開場しましたが、バブル崩壊により総額270億円という多額の投資が重荷となって経営悪化を招き破綻しました。その後米系投資ファンドのローンスターグループ傘下となり、現在はPGMグループの中でも厳選された16のコースがハイエンドのGRAND PGMコースとして運営されています。

クラブハウスに到着するとその高級感を直ぐに感じることが出来ます。

コース名はスペインの首都マドリードの北西約90Kmに位置する中世カスティーリャ王国時代からの都市でユネスコ世界文化遺産のセゴビア(Segovia)が由来です。

街の象徴は紀元1世紀ごろに造られた古代ローマの水道橋と、キリスト教国によるイスラム教徒からの領土回復運動レコンキスタの最前線でもあったアルカサル城です。

「世界の名城25選」にも選ばれた威厳に満ちた美しい古城はディズニー映画「白雪姫」に登場する城のモデルとも言われ、クラブハウスはこのアルカサル城と水道橋をモチーフにした異国情緒溢れた重厚な佇まいです。

出典:ガジェット通信

クラブハウスのデザインは「バルセロナの鬼才」と言われるスペインの代表的建築家でワイン醸造家としても知られるアルフレッド・アリーバス氏です。内部は天井が高く開放感があり、落ち着きのある雰囲気のレストランはガウディの影響を感じさせる曲線を多用した洗練された造りとなっています。

また木目調で統一されたロッカールームやジャグジーやサウナを完備しローマの浴場をイメージしたお風呂がプレーの疲れを癒してくれます。

そして特別なゲスト用にVIPサービス(サロン)があり、専用の駐車場とエントランスから入ると専用のチェックインカウンター、ダイニングルーム、ロッカー、お風呂が用意され、非日常的なサービスを味わう事ができます。

コースもクラブハウス同様にスペインをモチーフとして設計されており、各ホールには闘牛、フラメンコ、アンダルシア、ギターラ、ダリ、ゲルニカ等それぞれ独創的なデザインに因んだユニークなスペイン語の名前が付けられています。それらは設計家ミュアヘッドがコース全体をキャンバスに見立て、まるで大自然の中に造形美に溢れた美しい芸術作品を配置したかのような景観は、まさに彼の世界観を表現したコースと言えるでしょう。

それでは特徴ある各ホールを見て行きましょう。

1番ホール(482ヤード、パー5)コースのテーマであるスペイン物語序章の名前は「フラメンコ」。比較的短いパー5がスタートホールです。緩やかに左カーブしたフェアウェイの先にあるのはフラメンコダンサーの長いドレスの裾がひるがえる形をイメージしたグリーンとガードバンカーです。

2番ホール(397ヤード、パー4)名前は「アンダルシア」左にドックレックするコースの右手にはアンダルシア地方の砂漠とヤシの木をイメージした大きなバンカーが待ち構えています。そしてアンダルシア地方特有の帽子アンダルシアハットをイメージした円形のグリーン周囲に沿って360°ガードバンカーが取り囲んでいます。

3番ホール(152ヤード、パー3)「ギター」と名付けられたこのホールは現代クラシックギター奏法の父と称されるスペインの名ギタリストであり、名前もコースと同じアンドレス・セゴビアに因んで造られた名物ホールです。

ギターのネックにあたる部分がティーイングエリアからグリーンまで真っすぐ続くバンカー、そしてグリーンがギター本体と言うユニークで印象的なホールです。

4番ホール(376ヤード、パー4)ティーイングエリアの前からグリーンに至るまで大きな池が続き、ティーショットから全てプレッシャーを感じる難しいホールです。グリーンを突き刺すような細長い弓矢の形をしたバンカーはスペインを象徴する伝統的な武具である「クロスボウ(Crossbow)」をイメージしたもので、これがコース名となっています。

5番ホール(385ヤード、パー4)スペインを代表する画家パブロ・ピカソが内戦で激しい爆撃を受けた街ゲルニカを描いた代表作「ゲルニカ」をモチーフとしたホールです。

4番同様にフェアウェイ右手はグリーンまで池が続き、ティーショットは池に向かって突き出た半島を狙うのがベストです。そこからフェアウェイ中央の橋を渡ってグリーンに向かうと、グリーンの両側には大きな手のひらのようなバンカー、そして奥にはまるでプレーヤーを睨みつけるような目の形をしたバンカーがグリーンの周囲を囲んでいます。

6番ホール(390ヤード、パー4)イベリアと名付けられたパー4ホールは左右に池が続き半島をイメージしたホール。左手のポルトガルの位置には池との間に大きなクロスバンカーが長く続き、その先のグリーンは地中海に突き出たように池の中にある難しいホールです。

7番ホール(513ヤード、パー5)6番同様フェアウェイの左右に池が続き、途中でその池がフェアウェイを横切り、その先の左手にはグリーンまで続く池があります。更にグリーンの奥には巨大なガードバンカーが待つ難しいパー5ホールで、なぜ有名なリゾート地であるコスタ・デル・ソルの観光地マーベラと名付けられたのか理解に苦しみます。

8番ホール(129ヤード、パー3)スペインを代表するシュルレアリスムの画家ミロをイメージしたパー3ホールで、小高いティーイングエリアから池の向こうのグリーンを見下ろすと周囲には植物をデフォルメしたようなユニークな形のバンカーが四つ並び、強烈な印象を受けるホールです。グリーンは細長い二段グリーンでピンの位置を良く確認してティーショットを打つ必要があります。

9番ホール(357ヤード、パー4)キュビスム、シュルレアリスムを代表する世界的に有名なスペイン人画家サルバトール・ダリをイメージしたホール。ティーイングエリアの左側には池があるがそれを越えると真っすぐなフェアウェイがクラブハウスに向かって続き、ダリの作品が持つイメージほど難解なホールではないと思いますが、、、。

10番ホール(312ヤード、パー4)スペインの国技である「闘牛(コリーダ)」をモチーフした勇ましい名前のホールですが、池や大きなクロスバンカーはありません。しかし、闘牛士の翻るマントをイメージしフェアウェイもグリーンも平らなところが無いぐらいマウンドやアンジュレーションがあり、見た目ほど簡単なホールではないです。

11番ホール(496ヤード、パー5)スペインとフランスとの国境に連なる山脈のピレネーと名付けられたホール。ティーイングエリアからグリーンまでフェアウェイは狭く、左手は地中海をイメージした池が続き、右手は山脈のような傾斜が続きます。グリーンも縦に長く左右にガードバンカーが続くのでアプローチショットもピンをしっかり狙う必要があり、気が抜けません。

12番ホール(371ヤード、パー4)闘牛士と名付けられたホールはティーイングエリアの右手は大きな池、左手は幅のあるクリークが長く続き、ティーショットでフェアウェイを捉えるのは容易でありません。グリーンの左手には大きな目玉のような島があるガードバンカーが一つあり、グリーンはそのバンカーを囲んで闘牛士のマントのように広がっています。

13番ホール(426ヤード、パー4)「あっ、しまった!」と言う意味の名前がついたホールです。グリーンが半島のように池に突き出ているので、アプローチがそうならないようにしましょう。

14番ホール(139ヤード、パー3)スペインを代表する料理の一つ冷製スープ(ガスパチョ)と名付けられたパー3ホールは、スープに見立てた大きな池の真ん中に二つの島が浮かぶ印象的な名物ホールです。島の一つはグリーンでもう一つはバンカーで、陸地とそれぞれ島が橋でつながっています。グリーンは左右に広く奥が浅いので、これを捉えるには極めて正確なティーショットが必要で緊張が高まるホールです。

16番ホール(314ヤード、パー4)かつてイベリア半島最後のイスラム王朝があり、美しいアルハンブラ宮殿で有名な都市グラナダをイメージした美しいホールです。コースの両サイドには高い木々が整然と並び、クラブハウスに向かってやや左にカーブしたフェアウェイは広くて伸び伸びとプレーできます。

17番ホール(160ヤード、パー3)スペイン南部の海岸コスタプラバに由来した美しい池越えのショートホールです。グリーンは勾玉のようなフォルムでその手前右手には海岸をイメージした真っ白な砂のバンカーがアクセントとなっています。バンカーの向こうにもグリーンとの間に池が入り込んでいるので注意が必要です。

18番ホール(346ヤード、パー4)そして最終ホールは何と15世紀ごろスペインで多くの処刑者を出した恐るべき異端審問所(Inquisition)と名付けられたホールです。

ティーイングエリアの正面から右手にかけては池が続き、正確なティーショットが求められます。何といっても異端の処刑を思わせるように印象的なのは、美しいクラブハウスの前にあるグリーン周囲を囲む鋸のような独特の形をした巨大なガードバンカーです。何とか処刑を逃れて気持ち良くプレーを終えてクラブハウスに戻りたいものです。

しかし、これほどまでにストーリー性に溢れた独創的なゴルフコースがあるでしょうか?

自然を活かした美しい景観と共に「魅惑の国スペイン」の異国情緒溢れる独特の世界観を味わいながらスリリングなプレーを楽しんで下さい。

コースメンテナンスや従業員のサービスも行き届き、レストランやロッカールーム、お風呂などの美しい設備と共に気持ち良くプレーする事が出来ます。

クラブハウス横には広々とした練習場もあり、レストランのメニューやプロショップも充実しています。

アクセスは常磐自動車道千代田石岡インターチェンジまでは約90分、インターを出て5Km程の距離にあります。また東京駅からJR常磐線の特急列車で約1時間の石岡駅からタクシー約10分程度で行く事も可能です。

ゴビアゴルフクラブ イン チヨダ

住所茨城県かすみがうら市高倉1384
電話番号0299-22-6000
ウェブサイトhttps://www.pacificgolf.co.jp/segovia/