コロナの影響をまともに受けて開催が危ぶまれた東京オリンピックでしたが、始まると日本人選手の大健闘で盛り上がり、何とか無事に閉幕しました。
オリンピックのゴルフ競技は東京近郊の霞ヶ関カンツリー倶楽部東コース(6,907ヤード、パー71)を舞台に競技が行われ、男子は今春アジア人として初めてマスターズを制覇して期待された松山英樹選手がプレーオフで敗れ、惜しくもメダル逃しました。
しかし、女子は熾烈なオリンピック代表争いを制した稲見萌寧選手が好調を持続し、リオで銀メダルのニュージーランド代表リディア・コーとの三位決定プレーオフで破り、男女通じて日本初の銀メダルを獲得しました。
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稲見選手は開催地東京都出身の22歳、9歳からゴルフを始めると一日10時間の猛練習で腕をあげ、18歳の時にプロテスト合格し翌年プロ二年目でトーナメント初優勝を果たします。そして今年は大ブレークの年となりフジサンケイレディースなど今季6勝を挙げて一気にランキングを上げ、渋野日向子や鈴木愛、古江彩佳などの手強いライバルを制し、世界ランキング日本人トップの畑岡奈紗選手と共にオリンピック代表の切符を手にしたのです。
フェアウエーキープ率が出場選手中トップと言う正確なショットもさることながら、これまでプレーオフ無敗と言う勝負強さとメンタルの強さが持ち味でしょう。その健闘を称えたいと思います、「おめでとう、稲見萌寧選手!」
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そのオリンピックの熱戦が始まる直前の7月に開催された女子プロの国内ビッグトーナメントが「大東建託・いい部屋ネットレディース」です。結果は申ジエ選手が2位に5打差をつけた15アンダーの圧勝でツアー通算26勝目を飾り、優勝賞金2,100万円を獲得しました。
この大会はこれまで山梨県の鳴沢カントリークラブで開催されてきましたが、2020年の第6回大会から初めて会場を移して開催予定でしたがコロナで延期となり、今年はギャラリー数を限定しPCR検査や検温などの感染対策を講じての開催となりました。
舞台となったのは東京の暑さを避けるためオリンピックマラソンと競歩の開催地となった北海道札幌にある「滝のカントリークラブ」(6,578ヤード、パー72)です。
札幌市中心部から車で約30分、地下鉄でも行けると言うアクセスの良さながら、豊かな緑と水に囲まれた北海道らしい美しいコースですが、驚いた事に札幌市内での女子プロトーナメント開催は41年ぶりだそうです。
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東・西・中の3コースからなる27ホールが雄大な丘陵地にレイアウトされていますが、この大会で使用されたのは最も距離のある中コースと西コースでした。
このコースの難しさは距離だけでなくグリーンにあると選手も警戒していましたが、全英オープンを制した名手渋野日向子選手でもパットに苦戦して33位に終わるなど、出場選手の平均パット数が2を超えてそれが証明されました。
グリーンは特別小さいわけではありませんが丘陵地の為か傾斜がきつく、ピンの位置によってはラインの読みやタッチの難易度が高くなります。
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では印象的なホールを見て行きたいと思います。
中コース
中コースのスタートホール1番(519ヤード、パー5)はロングホールから始まります。フェアウエーは広々して気持ちよくティーショットを打てますが、二打目地点から緩やかに右にカーブしてフェアウエーは狭まります。更にグリーン左右にはマウンドがあり、グリーンを狙う際にプレシャーを感じる難しいホールです。
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2番(165ヤード、パー3)ティーグランド右側は谷で高い木が密集しており、複雑に傾斜するグリーンも難しく、ショートホールながらハンディキャップ2番のホールです。
3番(358番ヤード、パー4)大きく左ドックレックするミドルホールです。ティーグランド右手に池、正面の左右には高い木が並び、ティーショットはその狭い間を正確に打っていく必要があります。
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4番(319ヤード、パー4)は真っすぐで短めのミドルホールですが、左右の茂った大きな木々がグリーン近くまで密度濃く並んでフェアウエーが狭く感じられ、グリーンは丘の上にある小さな砲台で、渋野日向子選手も苦戦していました。
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5番(592ヤード、パー5)フルバックからは600ヤードを越える距離があり、一番難易度の高い名物ロングホールです。ティーグラウンド正面には樹齢300年を越えると言う名物の「臥竜の桂」の木が堂々を横たわり、ティーショットはその上を越える必要があります。
臥竜とは天にも昇る力を持ちながらあえて横になっている竜を模した優れた能力を持ちながら知られていない人の例えで、三国志で蜀王朝を開く劉備が諸葛孔明を見出す逸話「諸葛孔明は臥竜なり」として有名です。木の横にはその名前を刻んだ銘板が立っています。
臥竜の桂を越えるとフェアウエーは広くなりますが、コース全体が竜のように長々と左右にうねっています。更にフェアウェー左手にはまた1本の木がアプローチを妨げるように立ち、無理にグリーンを狙って左に外すと直ぐにOBが待っている難ホールです。
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8番(193ヤード、パー3)打ち下ろしですがたっぷり距離のあるショートホールで、グリーンは4つの大きなバンカーでガードされ、アマチュアがワンオンさせるのは至難です。
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9番(379ヤード、パー4)正面に見えるクラブハウスに向かって緩やかな打ち下ろしで、グリーン右手前には縦長の大きな池が配されたとても美しいシグニチャーホールです。左右にOBはなく、ロングヒッターは約300ヤード先の池に入れるつもりで思い切りよくティーショットを打てます。
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東コース
続いて東コースです。1番(354ヤード、パー4)右にドックレックした打ち下ろしのミドルホールですが、左右にOBが迫りフェアウェー右手は木々がせり出しているので、左からグリーンを狙う必要があります。
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3番(475ヤード、パー5)比較的短いロングホールですが、ティーグランから右側にOB杭がフェアウェー沿いに続いており、ドローヒッターにはプレシャーがかかるホールです。
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4番(198ヤード、パー3)、谷筋に沿って打ち下ろすような距離のあるショートホールです。フェアウェー左右に高い木々とOBがあるのに加え、グリーン手間にも左右3本の木が立ちはだかり、これらを避けて長めのクラブで正確なショットを打たないとグリーンを捉える事が出来ない難ホールです。
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5番(337ヤード、パー4)、短めのミドルホールでフェアウエーは緩やかに上りながら左にカーブしています。一見簡単にパーが取りやすいホールに見えますが、実はハンディキャップ1番と言う不思議なホールです。
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7番(127ヤード、パー3)距離は短めですが縦長の池がグリーンまで続き、池を越えた先には大きなバンカーが配された美しいショートホールです。プレシャーのかかる視覚情報に惑わされずティーショットを打つ強いメンタルが必要になります。
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8番(496ヤード、パー5)最後のロングホールはフェアウェーがS字を描くように左右に蛇行し、左側は比較的浅いところにOBが続くのでグリーンを捉えるまで油断が出来ないホールです。
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丘陵地にできたコースなので北海道のコースの中ではアップダウンが多いですが、どのホールも戦略的にレイアウトされて飽きる事がありません。
チャンピオンコースなので距離は長めですが、ティーグラウンドはフルバック(黒)から最前方のフロントNo2(金)まで5段階設置されていて、プレーヤーは自分の年齢や力量に合わせて最適なティを選ぶことができます。
また、コンディションが良ければカートはフェアウェー乗り入れができ、最新機種のiPadナビシステムが装備されていて快適なプレーを楽しむことができます。
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札幌市営地下鉄の最寄り駅から、または千歳空港からも無料送迎バスが用意されレンタカーもいらないアクセス抜群のコースで北海道ゴルフを楽しみませんか。
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滝のカントリークラブ
住所 | 北海道札幌市南区常盤200番地 |
電話番号 | 011-591-8422 |
ウェブサイト | http://takino-cc.com/ |